第1部
私がハーモニカを始めたのは
確か3才か4才くらいだったと思います。
私の父は
ハーモニカがすごく上手で
小さい頃からよく聴かされており、
見よう見まねで私も吹いていました。
父が吹いていたハーモニカは
複音ハーモニカでした。
ベース奏法や分散和音奏法などを
巧みに駆使し、
「荒城の月」や「城ヶ島の雨」
「青葉の笛幻想曲」などを吹いていました。
子供心に凄いな~と思いましたが、
父はそのノウハウを
なかなか教えてくれません。
でも、
毎日父の演奏を目の前で見ていると
だんだんとその要領が解ってきました。
舌をなんとなく左に寄せ、
ハーモニカにくっつけたり離したりしたら、
ベース奏法が出来ました。
大きく咥えて舌で穴を何個か塞ぎ、
口の両端から息を入れると、
オクターブ違いの音が出ました。
そして、その舌の押さえ方を
だんだん小さくして行くと、
アルペジョのような感じの音が出ました。
あ~これが分散和音なんだ!
と解りました。
そんなことが出来るようになると
ハーモニカがとても楽しくなり、
毎日吹いていました。
すると、いつの間にか
父より上手くなっていました。
小学校の高学年の頃だったと思います。
その頃、
何故かバイオリンにとても興味があって
母親にバイオリンを買ってと
言ったことがありました。
母は悲しそうな顔をして
「うちは貧乏だからそんな高い物は買えないよ
ハーモニカで我慢して、、、」と言われました。
私は、
その時の家庭の事情がよく解っていたので、
こんなことを言い出さなければ良かったと
少し後悔しました。
すぐにバイオリンはあきらめ、
ハーモニカに没頭しました。
そしてその結果、
さらに複音ハーモニカが上手になりました。
すると父は、
私が中学生くらいになったときから
私の前ではあまりハーモニカを
吹かなくなりました。
それよりも、
私を色んな所へ連れて行っては、
皆に自慢げに私の演奏を聴かせました。
唯一、その当時の録音が残っています。
複音ハーモニカの代表曲の「荒城の月」です。
ミスは多く、
リズム感の非常に悪い演奏ですが、
たぶん19か20才くらいの時の
演奏だと思います。
クロマチックハーモニカの話をすると、
中学生の頃に
2段式のクロマチックハーモニカ
(ピアノのように上下2段になっていて
下がCのスケール、上がC#のスケール)に
出会ってそれを吹いていました。でも、
それにそんなにのめり込むほどの
魅力は感じませんでした。
高校時代には
1穴2音のクロマチックハーモニカ
(トンボユニカ)に出会いました。
そして暫くして、ホーナーの
クロマチックハーモニカ(1穴4音)に
出会いました。
しかし、クロマチックハーモニカを
教えてくれる人はおりません。
自分で工夫しながら練習を続けました。
18才くらいの頃、
岡山県の片山先生が開催されていた
ハーモニカコンクールに出ました。
複音ハーモニカ部門では
「さくらさくら変奏曲」宮田東峰編曲と
アンサンブル部門で
コードハーモニカとバスハーモニカ、ギター、
そして私のクロマチックハーモニカの4人で
「マルタ島の砂」を演奏した記憶があります。
どちらも優勝しました。
その当時
小さなポケットに入って
一人でオーケストラのような
音の出すことの出来る楽器は
他にはない!
複音ハーモニカは最高の楽器だ!と
思っていました。
その頃には分散和音、ベース奏法、
オクターブ奏法などを駆使し
自分でアレンジして色々な曲を
吹いていました。
ところが、
この数年後に複音ハーモニカと
別れを告げる時が来るとはその時は、
全く気が付いていませんでした。
続く、、、、
今日の曲は
ビリージョエルの
「Just The Way You Are」です。
1973年の作品です。
原曲ではイントロの
ローズのピアノはリチャードティーが、
間奏やエンディングのサックスのソロは
フィルウッズが担当したそうです。
凄い豪華版の演奏です。
今日の演奏では
何故か複音ハーモニカを思い出して
エンディングのアドリブでは
オールオクターブ奏法で演奏しています。
それでは聴いてください。
今日の曲はビリージョエルの
「Just The Way You Are」
邦題「素顔のままで」です。
Just The Way You Are..Harmonica Tokunaga