民主党は分裂するな 民主党は社会党のように数人規模の政党になる。
7日午前9時、衆院第2議員会館3階の会議室は重苦しい雰囲気に包まれた。
「出馬は見送ります。ご期待に沿えず申し訳ない」
細野豪志環境・原発相は、10日告示の民主党代表選への立候補を要請していた小川淳也衆院議員ら約20人を前に、出馬断念を表明した。
東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に空白が生じることを理由に挙げた細野氏に、福島県選出の増子輝彦参院議員は「細野さんが首相になることが、福島の復興につながる」と再考を迫った。だが、細野氏は翻意せず、野田首相に出馬断念を伝えるため、足早に首相官邸へ向かった。
細野氏への待望論が広まったのは、選挙基盤の弱い若手を中心に「野田首相では衆院選を戦えない」との危機感が充満していたためだ。清新なイメージを持つ41歳の細野氏に対し、鹿野道彦前農相グループなどのベテラン議員も支持に動き出していた。ところが、告示目前に有力な選択肢を失ったことに、細野氏を支援しようとしていた前原政調会長グループの若手は「破談直後に別の結婚相手を探す気にはなれない」とため息をついた。菅前首相グループの中堅議員も「もう少し早く言ってくれれば……」と失望感をあらわにした。
細野氏の出馬断念表明から約2時間後、首相に批判的な山田正彦元農相と原口一博元総務相は、同議員会館6階の山田氏の事務所で、そろって記者会見を開いた。
「若い、これから将来のある原口さんに、代表選に臨んでもらいたい」
自らも出馬に意欲を示していた70歳の山田氏は、53歳の原口氏の支援に回り、「反野田勢力」の結集を図る考えを明らかにした。2人が署名した政策合意文書には、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加阻止のほか、「消費税を含む社会保障と税の一体改革についての3党合意は、破棄されていることを確認する」などと、首相の政策を否定する内容が並び、党内の溝の深さを印象づけた。
一方、党内の一部から出馬要請を受けていた田中真紀子元外相は7日、出馬せずに首相を支持する考えを示した。
民主党内では首相の再選が確実視され、乱立気味の自民党総裁選に話題をさらわれることへの不安も広がる。輿石幹事長は7日、浮足立つ党内へのいらだちを周辺にぶつけた。「しょうがねえじゃねえか」