トジハジ日記

日記代わり、家族への発信用として利用させていただいてます。内容はいろいろですが登山が趣味で、公開は山行記録がメイン。

2024.7.7-8 富良野岳~十勝岳 縦走

2024-07-12 18:13:16 | 日記

前十勝岳方面の噴煙(下山後の翌日撮影)

前日の天気予報通り朝からしとしとと雨が降っている。今日は雨の確率が高かったので前日に白銀荘に滞在延長可否を聞いてみたが既に予約で満室だったので、今日は雨の中を今夜のねぐらである上ホロカメトック避難小屋まで行かざるをえない。しかし登山に不要な荷物は置かせていただけるのでそれだけでもありがたかった。始発のバスで登山口の十勝温泉まで行き、準備を終えた7時45分頃に登山を開始した。当初の予定では富良野岳から美瑛岳までの縦走であったが雨の為、富良野へは行かず小屋までの最短コースである上富良野岳へのルートをとる予定だ。
安政の火口との分岐点から富良野岳へ向かうトラバース道に入る。本来は快適な歩きができるが、今日はいたるところに水たまりができていてそれを避けながら進まなければならない。ごろごろとした石の多いルンぜ状の登路になると上富良野岳にほぼ突き上げる最短コース入口も近いが、歩き難いところのK女史の足運びが気になってこのまま最短コースを行くのが躊躇された。また予想される稜線の風速、雨の強さから判断して長時間でも低体温症の可能性もないと判断し、時間はかかるがこのままトラバース道で富良野岳分岐点の稜線まで行くことを提案した。皆も、K女史も同意してくれたのでスムーズに事は運んだ。稜線手前で若干の風を予想して下着の上に一枚着込んだ。超高齢者になった今は気をつけなければならないことがたくさんある。分岐点の稜線にでるとK氏が我々3人組を待っていてくれた。K氏以外の2人は既に富良野岳へ向かったあとだった。4人で相談後、私とK氏は富良野岳へ向かい、T氏とK女史の2人は富良野を断念して避難小屋へ向かうことにした。重荷に喘ぎながらも30分少々?でK氏に遅れて富良野岳頂上に到着。当然のことだが展望はゼロ。長居は無用と3人の後を追うように頂上を離れた。
2人と別れた分岐点と富良野岳の半分くらいまで来たところで突然、前方から悲鳴が聞こえた。と同時に斜面をK氏が転がり落ちていくのが見えた。10mから15mほど転がって止まったが、岩場ではなくお花畑の斜面だったのでクッション効果でほとんど無傷で済んだのは幸いだった。バウンドしながら落ちていく事故は大怪我の可能性大(複数回目撃し搬送したこともある)だが、K氏の転がり落ち方はバウンドすることもなく、全身が一本の丸太棒のように伸びて、緩やかに転がっていくよう見えたので頭さえ打っていなければ最悪の事態は避けられると感じた。いずれにしても転がっていったのがお花畑であったのがが大きく幸いした。お花畑の斜面が緩やかになったところで回転は止まり、K氏が斜面を登り始めるのが見えて全員とりあえず胸を撫でおろしたのもつかの間、その後の彼のメガネ探しが大変だった。メガネが無い実に不自由なのは私も数回経験しているので、彼がこの辺で外れたという記憶に従い急斜面を降りて4人で必死にしらみつぶしに探したがどうしても見つからない。もう一度、落下開始地点に戻って落下ルートを確認しょうとT女史に戻ってもらうと、すぐに彼女から”あった”という喜びの声が聞こえた。何と落下が始まってすぐにメガネは外れていたのだ。道理でいくら探しても見つからないはずだ。チングルマの咲き乱れていたお花畑は、まるで子熊がじゃれあったあとのような(見たことはないが)みじめな状態になってしまった。3、40分程度のメガネ探しだったと思うがとても長く感じられた。その後は三峰山、上富良野岳、上ホロカメトック山と慎重に歩を進め、無事に今夜のねぐらである上ホロ避難小屋に到着した(13:51)。先行した2人も無事に少し前に到着していた。小屋には単独の先客がいた。トムラウシを越えて旭岳まで縦走するとのこと。明後日からは天候が回復する予報なのでトムラウシ山、旭岳間の縦走は素晴らしいものになるだろう。
2日目
相変わらず雨が降っている。身支度を整えて5時過ぎに表に飛び出す。大した雨、風ではないが、事前の取り決めとおり、今日は美瑛岳まで行かず十勝岳から下る。登りは十勝岳だけ、あとは下るだけの楽な行程なので急ぐ必要は全くないのだが、展望がないので淡々と休みなく十勝岳を登らざるをえない。頂上までは大した距離はないので早くも1時間程度で十勝岳頂上に到着。めいめいにガスの中で記念写真をとってからさっさと下る。下りに入ると多くの人と行き交うようになってきた。こんなガスと雨で展望もない時でも登る人は本州などから来た100名山のようなピークハンターがほとんどだろう。8時頃に十勝岳避難小屋を通過。最後の望岳台と吹上温泉の分岐点から吹上温泉へのトラバース道は、以前に歩いた時と随分様子がかわった感じで予想外にに時間がかかった。吹上温泉白銀荘に9時28分頃到着。



忘備録:
1.新品のモンベルバーサライトジャケットは新品にも関わらず撥水性がなかった。またハードな使い方はできないと思わせるほどきゃしゃ。
2.Outdry手袋の防水性はほぼ満足
3.Suunto Baroのキャリブレーションを怠ったらナビの方向と自分の向いている方向が真逆になりミスリードするところだった。
4.赤色LEDヘッドランプが小屋泊ではマスト






2024.7.4-5 北海道、大雪山系トレッキング

2024-07-11 17:37:10 | 日記

2日目の縦走路

1日目
山登り同好会メンバー5名と久しぶりに大雪山系のトレッキングに出かけた。コースは姿見駅→旭岳→北海岳→黒岳→北鎮岳→比布岳→当麻乗越→裾合平→姿見駅で1日目の夜は黒岳石室泊の計画だ。晴天で気分はうきうき。早くも姿見駅周辺では色とりどりの花々が迎えてくれた。前夜に泊まった大雪荘のおかみさんは”チングルマは少し満開には早いかも”と言っていたが、なかなかどうして個人的にはベストタイミングと思われるくらいの咲き方に思えた。これならすばらしい稜線漫歩が期待できそう。お花畑を過ぎるといよいよ本格的な旭岳への登りが始まる。10年ほど前の同じ時期に妻と登っているがガスの中の歩きだったので数十メートル程度の視界しか無くさっさと旭岳だけ登ってさっさと下ったという記憶しかない。今日は平日だが多くの登山者でにぎわっていた。1時間程度登ると少し傾斜がきつくなってきた。登路左側は荒々しい火山の山特有の景色が展開している。そして頭上には金庫岩のような四角い岩がはっきりと確認できるようになってきた。標識と人らしき姿も見えてきたのでそれほど頂上は遠くはないのだが・・・。右の方をみると想い出深いトムラウシ山の頭が見える。まだ雪がたっぷり残っている6月初旬に妻を誘って黒岳から富良野岳までへの縦走を計画したことがある。まだ体力のある時だったのでほぼ2人分の30kg近くのザックを背負っての縦走だったがとても楽しかった。その時は残念ながらキックステップの多用で早くも1日目で妻の両靴のソールが完全に取れてしまい、なんとかトムラウシまで頑張ってもらって東大雪荘へ下山したことを思い出す。そのトムラウシから更に右に目をやると、オプタテシケ山とそれから続く十勝連峰の山々も遠望できる。さて先行する3人はどこかなと目をあげるともう姿が小さくなっていてK,M,Tトリオの元気さにはもうあきれるばかりだ。彼らを頂上で長く待たせることは申し訳ないが、それは少々勘弁してもらって我々T,K,Sスロートリオは牛歩のごとく進むしかない。いよいろ傾斜がよりきつくなってきたころ頂上が見えてきた。9時27分、頂上着。360度の展望を心行くまで楽しむ。明日歩く北鎮岳、比布岳方面の稜線が眼前に展開する。天気が良ければ間違いなく満足度100%の稜線漫歩なのだが明日の天気予報は雨模様。大休止の後、間宮岳、中岳(往復)、北海岳へと向かう。一か所、下りの雪渓が残っていたが踵から大股でリズムカルにひょいひょいと下降できる雪質で快適だった。他人の足跡に合わせてを下ると歩き難いと思う。北海岳からの下りは熊注意地帯だが、糞さえもなく熊のいる形跡は全くなかった。北海沢や北海沢への下りの道は先回来たときは完全に雪の下だったが今回は雪がほとんどなくて沢は川状態になっていて随分と想像と違う様子が変わっていた。北海沢の川を渡り終えて黒岳が目前に聳えてきてやっと今夜の宿、黒岳石室に到着。先行3人組はかなり待っていたことだろう。ビールが待っているが、その前に黒岳に行く5人と別れ、まだ登ったことのない桂月岳を優先して往復した。桂月岳は登り5分、下り5分(YAMAPログ記録より)であっけなく終わってしまったので、登るのを躊躇していた黒岳にも足を伸ばした。先回に来たときの黒岳頂上はまだ雪の下で、頂上には妻と私以外1人だけの静寂な頂上だったが、今回は人、人、人の喧騒の頂上だった。戻った後に晴天と花に恵まれた今日の行程を皆で話し合いながら飲むギンギンに冷えたビールが格別だった。
2日目
昨日の石室管理者の話では今日は朝から曇りから雨との予報だったので恐らくショートカットコースになるだろうという予想で出発は6時と決めてあったが、4時ごろ外に出てみるとほぼ快晴に近いではないか。慌ててまだ寝むそうな皆に5時出発にしようと声をかけた後、お湯を沸かし朝食の準備を急いだ。朝食といってもカップラーメン程度だが。朝のあわただしい準備を終え、結局出発できたのは5時を10分を過ぎたころになった。今日の行程は北鎮岳、比布岳、当麻乗越、裾合平と周遊して姿見の駅に戻るコースである。宿のおかみさんは我々シニアーにはきつそうと心配?してくれたが危険なところもなく大雪山系第一級のトレッキングコースのはずだ。早朝の広大な高山植物が咲き乱れる雲の平の草原の中を歩いていくのは実に気持ちがすがすがしい。気温もほどよく、とにかく気持ちが良い。最初の登りである北鎮岳には雪渓が残っていたがアイゼンは不要だった。先行したK氏の話では外人パーティーがステップをしっかり作っていってくれたとのことだった。頂上に   到着。ニペソツ、石狩岳、ニセカウなど過去に足跡を残してきた山々が見える。天塩岳は雲海の中で確認できなかった。晴れではあったが、展望できる距離はその程度でそれ以上に距離のある山々の山座同定は残念ながら楽しむことはできなかった。再びここからしばらく緩やかな上り下りの稜線歩きが続き、比布岳には   時に到着。ここからピラミダルな愛別岳が右手の近距離に聳えている。往復したいところだが今回は計画にない。特に危険個所などないが安足間岳から当麻乗越まではわかりにくい箇所もあったのでガスに巻かれた時は要注意箇所だと感じた。当麻乗越に11時7分到着。ピクケナイ川の渡渉が大変だと宿のおかみさんに脅されていたのでここから自分一人が先行して様子を見に先を急いだ。幸い水量は少なく、適切な間隔で配置されている飛び石のお蔭でなんの心配もなく渡ることができたが確かに増水している時は間違いなく危険で適切な判断、対応をせまられるであろう。渡り終えてから少し登るといよいよファイナルの姿見駅までの長いトラバースが始まる。標高が下がり、木々も多くなってきて額の汗を拭くようになってきた。裾合平に到着すると今までの静寂な山の世界から突然、ツアーの団体など大勢の人と行き交うにぎやかな観光地の雰囲気に変わった。姿見駅からここまでのトレールは池とお花の散策路なのだろう。少し進むととっくに駅についているはずのN女子が一人待っていてくれた。足が重いというので秘薬を渡すと、それを飲んでから5分くらいしてから飛ぶように走り去っていったのには驚かされた。シャリバテが原因であることは明確なので別に秘薬でなくてもよいのだが。我々3人はN女子から遅れること30分程度?、K氏、T女子から遅れること約1時間でようやく姿見駅に到着した。駅で秘薬のお礼だと言ってN女子がおごってくれたビールが乾いた喉にしみこんでとてもおいしかった。

コースタイム
1日目 姿見駅 6:52 黒岳石室 14:05 / 14:20 桂月岳 14:25 / 14:35 石室 14:40 / 14:42 黒岳 14:57 石室 ? 
2日目 黒岳石室 5:12   姿見駅 13:57

忘備録
持参品: エクソス48、緑シュラフ、シュラフカバー、エバニューマット(腰が痛くて寝れなかった)、ツエルト、ツエルトグランドシート(タイペック)、圧手羽毛服、張綱2本+4本)、着替え(下タイツ、上肌着)、防水手袋、ミズノ手袋、1Lコッヘル、バーナー、ガスカートリッジ、チタンマグ、ハイドレ1セット、ポリ水容器2、ペットボトル(廃液用)、緑クーリングタオル、ラテ、救急セット(テーピングテープ、キズバン、ポイズンリムーバー、オロナインなど)、ナイフ、Sunnto Baro、小物類(浄水器、ラテ、スマホ、モバイルバッテリー、ケーブル3、温度計、方位磁石、タオル2、薬、メガネバンド、ちり紙、ライター、財布など)、ポール1(ツエルト兼用)、 行動着(ファイントラ肌着、ジオライン下着、モンベルメリノウールシャツ、モンベルネットキャップ、ファイントラックソックス、モンベルブリーフ、モンベルパンツ黒)
食糧
ぶっこみ飯、カップヌードル、行動食(いつものことだが多すぎて、無駄に重いので要検討)

1日目 2.5L 2日目 2L (反省:2日とも1.5L使用)、その他の水分(ゼリー類)



2024.6.4 福井県 ブナ林が美しい姥ヶ岳へ

2024-06-05 15:28:35 | 日記

新緑のブナ林の中を行く

福井県と岐阜県の県境近くにある姥ヶ岳へ行ってきた。水芭蕉の咲いている5月に行きたかったが機会がないまま、最近になってNHKで姥ヶ岳の新緑のブナ林の美しさを紹介している放送を見てどうしても新緑のブナ林を歩いてみたくなり、混雑しない平日に訪れてみた。今回は妻にも手頃なコースだとおもい半年振りくらいに誘った。5時に自宅を出発、国道ならず酷道で有名な岐阜県側157号線の運転は寝不足のせいもあってかとても疲れ、自宅から約3時間かかってやっと姥ケ岳登山口に到着。登山開始は8時過ぎになった。昨年の11月に登ったすぐそばにある越山、蝿帽子嶺や平家岳、屏風山方面の眺望がもう一つの楽しみだったが県境の温見峠に向かう途中から見る県境稜線の山々は残念ながらガスに包まれていた。8時16分に登山口をスタート。所々で林道を横切りながら高度を稼いでいく。急なところはジグザグに道がついていて総じて登りやすい。久しぶりに登る妻も順調についてくる。30分も歩くと気温はまだ15度もいっていないのに汗が出始めTシャツ1枚になった。6月でもこの時間帯の森林帯はTシャツ1枚では肌がひんやりして少し寒い。1時間ほどで噂のブナ林帯に到着。評判通り新緑のブナ林の美しさは格別で、静寂と午前中の冷気がブナ林の美しさを更に格別なものにしていた。自分はブナ林を散策するのが大好きでとても心が洗われ落ち着く。林の中には簡素なベンチが5つほど点在していたので帰りにゆっくりここで食事をとることにして少しの休憩でけで先に歩を進めた。ブナ林の丘から、少し下降すると水芭蕉群地に出た。極めて小規模な群生地だが、湿原の予兆もなく突然、目の前に現れるので実際に出会えたらとても感激するに違いない。水芭蕉の沼池を過ぎると、頂上に向かい単調な登りが続く。思いの外この登りは長く感じる。妻も”長いねー”と時々つぶやいていた。頂上近くなってきたことを示す水平な歩きになってきたら、やたら白い小さな綿毛のようなものが一面に風に乗って飛んでくるようになった。しばらく手で払いながら何の植物だろうと歩いていたが、少し立ち止まって服についたものをよく見ると白いものが動いているではないか。妻も最初は信じなかったが、よくみるとやはりわずかに動いていることに納得。なんだか気持ち悪くなってきたが害はなさそうなので払い落しながら進むと10時45分、ようやく開けた頂上広場に到着した。広場の周囲はブツシュなどに囲まれていたが北方向は開かれていて笹生川貯水池が眼下に望めた。残念ながら白山や荒島方面は雲に包まれて見えないので少しがっかりしたが、なんとなくブツシュ帯の中の小径を南に数10mほど進むと岐阜県側の山々が眼前に展開する大展望が待っていた。福井県側と同じく山々の上部には雲がかかっており、山座同定を心行くまで楽しむことはできなかったが、それでも何度も写真をとり頭部が見えてないが山座同定を国土地理院の1/20万の地図とコンパスで楽しんだ。10時45分頃に頂上をあとにする。今回は久しぶりに付き合ってくれた妻と新緑のブナ林の丘でベンチに腰を掛け、のんびりと食事を楽しんだことが一番の思い出になったようだ。


2024.5.25 飛騨の天蓋山

2024-05-26 18:58:09 | 日記

天空の牧場最上部からの展望。 薬師岳(左)、寺地山(中央手前)、北ノ股岳(右)

昨日は短時間ながら何のトラブル予兆もなく歩けた。当初の予定では1泊2日のリハビリ登山でのんびりと丸黒山と十二ヶ岳を登り帰るつもりでいたが前日だけでこの2つが登れてしまった。心配していた1ヶ月半のブランクの影響もあまり感じことはなく、ここまで来てこのまま帰宅するのはもったいない気がしてきて、少々離れているが思い切って昨日、所属する山登り同好会のメンバーが登っている奥飛騨の天蓋山まで足を伸ばしていみることにした。天蓋山は若き日に薬師岳、北ノ股岳、寺地山とスキーで上り下りしたルートをこの目で追ってみるには最高のロケーションにあるし、立山からの縦走や冬、春の合宿などで一時はよく通った薬師岳とその周辺の山々を高齢になって高山が登れなくなったら、ここから眺めながら回想に浸りたいと思っていた山でもある。

5時46分、まだ一台も車がとまっていない山之村牧場駐車地をスタート。Yamap新ルートの看板がたっているところからが本格スタート。人気ルートだがさすがにこの時間帯に登山者はいない。静かな早朝の樹林帯は空気が澄んでいて実に気持ちがいい。しばらく水平に近い歩きが続くと白樺階段?と書かれた標識のある急な階段が現れた。まだ体が慣れてないので息がはずむがところどころで傾斜が緩むので何とか立ち休憩をとることもなく順調に歩を進めることができた。このルートは展望のききそうなところがないと何かで読んだ記憶があるが、まさにその通りのようだ。工程の半分ほど来たと思われる地点にYamapのかわいらしい書き込み看板が設置されていた。いかにもYamap新道らしいが、自分には年代の差からくる違和感があった。ようやく天蓋山の頂上があるらしい方向の尾根が時々開き始めると下山ルートがあると思われる尾根に向かってトラバースを開始。このトラバースでは笹の切り口で数回、足を取られバランスを崩すことがあったが、このトラバースの間だけは毎年、シーズン初めに笹刈りの手入れが必要になるだろう。トラバースが終わって尾根にあがると下山ルートに合流した。合流地点には頂上が右方向にあることを示す標識があり、それに従って顔を右に向けると大きく広がった青空に吸い込まれるように幅広い階段が続いていた。階段の終わりが頂上であることを確信し最後の100m?ほどを登ると7時33分、こじんまりとしてこぎれいな頂上に到着した。頂上には田部井さん筆の白ペンキで書かれた天蓋山頂上の標柱があり、その周りを山々の名前が記されたプレートが取り付けられた板の椅子が囲んでいた。360度の展望があるのだが今日は早朝の春霞で北アルプスの山々はみえない。視界さえよければ時間の許す限り滞在したくなるような居心地の良いところだった。1時間もすれば恐らく靄もとれ北アルプスの山々がみえてくると思われたが10分ほど記念写真を撮るとなんとなく下山を開始してしまっていた。下山は山之村キャンプ場へのルートをとった。この下山ルートはYamap新ルートと違い案内標識が少なく、尾根上の所々にある休憩地は展望がすこぶるよい。ルートも変化に富んでいて飽きがこない。などなどなかなかの好ルートとなのだが、Yamapコースより急なので登りの使用は体力に自信の無い人には不向きとおもう。下山口近くにある閉鎖中のキャンプ場は樹林と草原の対比が美しいところだった。昨夜、車中泊した高山大山林道脇にある下山口近くのお店はまだシーズン開業していなかったが、たまたまオーナーがお見えになりしばらく言葉を交わした。店は1か月後ぐらいで開業するといってみえたし、一時閉鎖していたキャンプ場も新たな開業に向けて準備中とのことだった。周辺には立派な藁葺屋根の民家や、天の夕顔の作者の碑など、車で通過した時にはわからなかった気づきも多々あった。林道をはさんだ対面には原則、雪のある時しか登れない岐阜100秀山の一つ桑崎山がある。今回で土地勘ができたので次シーズンには天蓋山と桑崎山をスキーを使って楽しんでみようとおもう。



2024.5.24 丸黒山、十二ヶ岳、国見山(岐阜100秀山)

2024-05-26 14:48:03 | 日記

丸黒山頂上から槍穂高連峰を望む。

今日は所属する山の同好会の例会日だが、体調が相変わららず不調で迷惑をかけるのが気になり参加を辞退し、代わりに短時間で登れる山へマイペースで登って様子をみることにした。実に約1か月半ぶりの山歩きだ。
選んだ先は乗鞍岳近くの岐阜100秀山の中の一つ、丸黒山。Yamapコースタイムでは5時間41分となっている。国立乗鞍青少年交流の家が登山口で、登山道も整備されていそうで何かあっても安心できそうなコースだ。自宅を4時30分頃に出発。経費節約の為、高速は使わず一般道で約3時間後の7時過ぎに登山口付近の駐車地に到着。青少年交流の家は高山スキー場のすぐ先にあり自然豊かな環境の中にある。7時30頃に駐車地をスタート。通常は設置されている登山口の標識が見当たらず、しばらく登うろうろした。広々とした交流の家の裏の丘を進んでいくと林道に合流。さらに進むと登山届のボックスがあり、どこからアクセスするのか不明だが車なら更に奥まで進むことができる。林道終点は広々としており数十台でもとめることができそうなところだった。ここからは山道に入る。しばらく進むと日陰平山との標識のある分岐点に到着。ここまでの途中に一か所、道の脇に熊の糞らしきものがあった。日陰平山はパスしようと思ったが時間に余裕がありそうなので寄ってみることにした。道には笹が覆いかぶさっていたのでダニが心配になり(数年前にマダニに食われ病院でとってもらったことがある)、すぐにズボンの裾を靴下に中に入れ、首に巻いたタオルを肌が露出しないように巻きなおした。真新しい黒色の登山用ズボンは瞬く間に白くなってきた(帰宅して調べたらチビタケナガシクイムシの影響のよう)。7時45分に頂上着。展望もなくピークらしさはゼロ。頂上標識の写真を撮るとすぐに周回する形で元の登山道に戻った。今の時期は新緑の木々が目に優しく実に気持ちが良い。特にブナ林の中の歩きは格別だ。1時間ほど歩くと大きな山小屋が立っている広場に出た。地図で見ると平金乗越という場所らしい。小屋のマークは地図に載ってなかったので小屋の出現は予想外だった。中には入らなかったが立派な造りで、かなりの人数が収容できそうな建物だった。水場はないとおもっていたので2Lの水を持参したが、ここまでに水を補給できる場所は2か所あった。まだ順調そうなので休みを取らず先に進む。少し進んだあたりから急登がところどころ出始め、さすがにヘルニアの影響で心配していた左足が重だるくなってきて自分の足でないように感じ始めてきた。咳も頻繁にでるようになってきてつらくなってきた。暑さも影響も出始め、ついにもう少しで頂上だろうと思われる地点でたまらずダウンし腰を下ろして水分の補給をした。やはり体調は今一つだ。最後の登りに苦労していると突然、コーナーで単独の女性と出くわした。先方は一瞬ドキッとした様子だったが、黒サングラスに黒の覆面だったので表情はまったく計り知れなかった。最近は女性の場合、顔全体近くを覆う人が多いので顔の表情が分かず形だけの挨拶になってしまいがちだ。9時37分、まだかまだかと思っていた頂上にやっと到着した。頂上は広々としていて残雪の槍穂高連峰を見ることができて嬉しかった。帰りに途中にある小屋を少し過ぎたあたりで恐怖のハプニング発生。道脇の笹藪の中から、今にでも襲いかからんとする時のような獣の重量感のある唸り声が聞こえてびっくり。背中から襲いかかられる恐怖を感じながら数メートル過ぎたとき、ガサガサと音がしたので勢いよく振り向くと笹藪が数メートルほど揺れて唸り声の主が後退したのが分かり心底ホッとした。20~30mは意識してゆっくりと歩いた。あの威嚇の唸り声の獣はなんだったのだろう。熊以外には考えつかないのだが。その後は熊の爪痕が残っている木々がないか観察しながら歩いたがその痕跡のある木は見つけれなかった。
PS: この後、まだ日没まで時間がたっぷり残っていたので、同じく岐阜100秀山に挙げられている十二ヶ岳と国見山に立ち寄った。




丸黒山の頂上


十二ヶ岳の頂上から少し進んだ展望地




国見山の頂上