仙ヶ岳頂上への最後の登り
最後のピーク杵臼岳は安楽峠から1時間程度で登れてハイキングに最適.
バック右の仙ヶ岳からの稜線歩きは今回も人の気配がなく静かな一人旅が満喫できた。
久しぶりに雪山歩きにでかけた。行先は三重県亀山市の仙ヶ岳。今回は鈴鹿山脈でまだ足跡を残せていない一部の仙ヶ岳から安楽峠までの縦走だ。早朝5時に家を出て夜が明ける頃の7時少し前に登山口の石水渓に到着。気温はマイナス2度。ピッケル、10本爪アイゼンは不要と判断しておいていくことにした。ザック重量は10kg強。着衣は下着にファイントラックとジオライン、上着はU.Lサーマライトパーカー、それにダウンベストをいう出立。10分くらい登るとXX滝と○○滝への標識のある分岐点が現れた(名前が思い出せない)。どちらが登山道かわからないので、しばらく考えたあと、まずは右へ行ってみることにする。数分歩くと水を満々と湛えた深緑色が美しい滝つぼのが下に見えてきた。重荷ではバランスをくずされそうなほどの急な鉄梯子の階段をぎこちない動作で滝つぼに降り立つと神秘的な雰囲気に清々しい気持ちになった。道はこの先、続いていないようにみえたので再び元の分岐点にもどり、XX滝方面へと歩をすすめるとすぐに林道に飛び出た。その渓谷沿いにつけられた林道を50分ほど淡々と歩くと幅広かった林道が終わり、やっと本来の登山口に到着。ここまでの間でウエストベルトに入れて歩きながら口に入れることができる行動食を別のザックから移し替えるのを忘れていたことに気づき、しゃりばてを避けるために当初の予定であった南東尾根からの仙ヶ岳東峰経由ではなく、行動時間が短かくてすむ東峰と本峰の鞍部に出る白谷コースに変更した。渓谷沿いの登山道は単調とおもってあまり期待していなかったが、なかなかどうして、とても変化に富んでいてのんびりというわけにはいかなかった。4,5回ほど渡渉、不安定な梯子、落ち葉でスリップしやすいトラバース道、鎖場トラバースなど、危険といえるほどのところはないが、注意しなければならない個所が随所に現れた。
2時間近く歩いたらいつのまにか白谷ルートから外れて左岸の尾根上に乗りあがってしまい、どこを歩いているのかわからなくなってしまったが、それでもまだ鞍部に出ることを疑わずに歩をすすめると、いよいよ積雪量が増えてきて、仙ヶ岳本峰に直接突き上げている尾根上にいることがやつと理解できた。風が強くなってきて体が冷えるようになってきたのでアウターを羽織る。アウターは40年以上も前に購入し、アルパインクライミングで愛用してきたノースフェイスのゴア、ハードパーカーだ。傷だらけで生地も薄くなり完全に寿命をオーバーしている代物だが捨てられない。本峰直下のナイフリッジ状のところでは太ももまで時々落ち込むようになり、頂上を目の前にしてやむなく今まで装着を渋ってきたロングスパッツを着けた。このロングスパッツも30年近く使用してきた代物ですでに寿命オーバー品であるが、この年齢で登山道具に投資をする気分になれない。ついでに大休止。ここは東峰に突き上げる岩と雪の南東尾根の迫力ある姿が眺められる絶好の場所だった。
仙ヶ岳頂上はここから10分程度だった。去年の冬にここから宮指路岳へ縦走して以来の頂上がとてもいとしく感じられた。ピークに立つと雪を冠ったピラミダルな迫力の鎌ヶ岳と堂々とした山容の雨乞岳など一気に北方方面の山並みが眼前に展開し感激。
さてここから安楽峠へはどちらに向かうのかと地図と睨めっこ。結局、今登ってきた尾根が安楽峠方面に続く尾根ということになり、半信半疑の気分で戻ることにした。あのズボズボのナイフリッジを再び歩くのかと思うと気が進まなかったが仕方がない。そこを通過するとすぐに御所平方向を示す小さなプレートが枝にかかっていることに気が付いた。来る時にはここで御所平コースに出会っていたことに気づかなかったが雪が無い時には御所平に向かう普通の登山道なのだろう。自分のトレースと別れ、御所平コースに無事に入れたことに少し安堵した。
御所平最高点には12時過ぎに到着した。広々とした尾根が続く御所平は今は雪原だが夏は楽園のような雰囲気のところなのだろうとおもった。ここからの展望は一級で山々はもちろんのこと、琵琶湖まではっきりと見えた。風を避けて御所平ピークから少し進んだところで昼飯のカップラーメンを食した。ここからコースはほぼ直角に方向をかえているのだが、この判断を誤ってしばらく直進してしまい、しばらく樹林帯の中でさまよってしまった。登山道のわからない雪山の樹林帯では余程の注意が必要だ。元の地点に戻ってからは順調に歩をすすめた。日没時間と相談しながら、まずは第一下山コースの鬼ヶ牙コースを見送り、続く第二下山コースのある臼杵岳に12時15に到着。杵臼岳頂上は大きく切り開かれ、展望を遮るものもない。数時間前には歩いていた仙ヶ岳からの稜線が見えて既になつかしくさえ感じる。明るく広々として雰囲気がいいので半身大のマットを敷いて横たわりザックを枕替わりにして大休止した。横になると腰の疲れがとても癒され実に気持ちが良いので今ではマットは手放せない。日没と競争する心配もなくなったので杵臼岳からの下山も見送り最後の目的地である安楽峠へ向かう。カモシカ平からの東海自然歩道コースに合流すると道が格段によくなった。部分的には寺院の境内の道のような雰囲気のところもあり厳かな気分になってくる。15時頃、安楽峠に下り立つ。安楽峠は大型バスでも通れるほどのアスファルトの車道が横切っているが、とてもこの下を新名神高速道路が通っているとは思いないほど静寂で山深い雰囲気のところだった。これで鈴鹿主脈歩きも残すところ安楽峠から油日岳となった。
<忘備録>
行動時間: 7;00スタート、 16:00駐車地着 (ログはYMAPクラハイA参照)
衣類: ファイントラック下着、ジオライン下着、モンベルU.Lサーマラップパーカー、ハードシェルアウター、羽毛ベスト、クロロファイバータイツ、レグウオーマー、靴下、ブリーフ、フリース帽、ニット帽、キャップ、スキー用革手袋、モンベル手袋カバー、ウレタン手袋、ミズノレインウエアー(下)、ダウンパーカー。
装備:ロングスパッツ、ポール2本(スノーバスケット大付き)、チェーンアイゼン、ツエルト、ミニガスバーナー、ミニガスカートリッジ、チタンマグ、象印サーモボトル800mL、
カメラ用楽天スマホ(背ベルトポーチ)、ログ取得用用スント腕時計、非常連絡用Iphone、ソリオ無雪期用登山靴。細引き10m、CAMPヘルメット、クライミング用カラビナ1,オスプレーケストレル38Lザック、休憩用マット。1/25000地図、山と高原地図、温度計、コンパス、レスキューシート、ラテ2セット、背あてポリエステルロングタオル、オイルライター、その他の小物類。
水分:水 1.2L,熱湯 800mL。
食した物: カップラーメン1、バナナ1本、メロンパン1/2。
(食さなかった物: 干し柿、ミカン、カロリーメイト、ビスケットなど)
忘れた物:サングラス