小白山頂上よりこれから向かう野伏ヶ岳方面を望む。一番奥に白山。
中央付近のピラミダルな山が100名山の荒島岳。この後方には奥美濃の山並みがどこまでも続く。
ログ軌跡。小白山北峰と南峰間の軌跡がないのはザックを北峰に置いて行った為。
<編集中>
数年前にBC目的でAさん、Oさんと小白山へ出かけましたがAさんの体調がすぐれず途中から戻りました。それ以来、気になっていた山で、今回は前回とは異なる杉山からのロングコースで小白山から野伏ヶ岳まで縦走周回することにしました。当日は好天に恵まれ、これ以上は望めないほどの見事な眺望にめぐまれました。一方、この時期の稜線はいたるところで雪割れが発生していて、一時は脱出ができるかどうか不安にさせられるような踏み抜きアクシデントに肝を冷やすなど稜線の縦走中は気が抜けませんでした。
白山中居神社の駐車場に着くと30台以上と思われる車がとまっていて駐車できる場所がなく,路肩に駐車した。毎日が休日の私でも好天の日は限られているので仕方がないが、それにしても野伏ヶ岳は、雪山入門者でも楽しめるコースであり,BCのブームもあって大変な人気ぶりだ。幸いにも、自分の計画したルートから登頂を目指す人はなく、今回も静かな歩きを楽しめそうだ。7:10に杉山へ上がる斜面に取りつく。やはり最近は誰も歩いた形跡がなく適当にルートを定めて進む。既に気温が上がってきていて早くもズボズボと膝くらいまで埋まるのでワカンを装着。使用2回目の新しいワカンは調節が十分でないので何回も取り付け直しをさせられペースがtちっとも上がらないので、先が心配させられたが、それでもなんとか予定の2時間弱で杉山に到着できた。雪が締まっていれば1時間30分もあればいいと思う。杉山からは小白山北峰に続く尾根にのるまでは少々、ルートが複雑だが今日は視界良好なので読図に頼らなくてもよい。ガスでもかかっていたら読図に自信がない自分は不安にさせられると思う。ここから少し下りの斜面は日陰で氷雪気味なのでここでアイゼンにつけかえた。最近、山を引退した知人からいただいたカジタの12本爪アイゼンは何十年も前のものなので片方だけで550gもあるが信頼性は抜群でどのように酷使しても不安がない。尾根にのってからは、脛程度までの落ち込みで済む登行が淡々と続く。樹林帯を抜け出す高さに達すると一気に遠方までの眺望が広がり、いつものように気分が高揚してくる。目の前の真っ白で雄大な野伏ヶ岳が圧倒的だ。縦走予定の稜線の雪庇の大きさが気になる。11時24分に広い小白山北峰頂上に到着。素晴らしい展望だ。ここまで4時間以上かかった。稜線に出ると今までの汗が噴き出すような暑さから一転、一気に風で熱を奪われて体が冷え、下着の上にハードシェルを着た。ここでザックをおき、カメラ、食糧だけをポーチに入れて北峰より少し高い南峰に向かう。ここからはピッケルの世界だ。滑落は許されないし、狭い稜線の雪庇の踏み抜きには十分な注意が必要だ。稜線の途中の雪庇の乗り越しが核心部だった。今日は雪が柔らかいのでスムーズに超えれたが、条件が悪いと両サイドとも切れ落ちているのでかなり緊張するところだと思う。南峰に11時44分に到着。圧巻ともいえる景色が眼前に展開する。正面の荒島岳の右に銀杏峰方面、左に能郷白山や過去に足跡を残してきた多くの奥美濃の山々が展開し、いろいろな記憶が蘇ってくる。いつまでも滞在したいようなところだが、先が長いので10分程度の写真撮影を終えてすぐに北峰に戻った。ここからいよいよ野伏ヶ岳までの縦走が始まる。雪稜漫歩が楽しめそうでウキウキ気分でスタート。まずは北峰から下り、橋立峠に向う。橋立峠ではBC目的のカップルがお疲れの様子で風よけができる場所で休んでいた。小白山登頂を目指す人のほとんどはこの最短ルートである橋立峠経由だ。安全でスキーも使える斜度なので気楽にここまで来ることができる。橋立峠を過ぎて小さなピークを越えたところでアクシデントがおきた。突然、目の前の景色が消えた。表面の雪で隠れていた地面と雪庇の割れ目に落下したのだ。足元の先は暗く空洞が広がっていて気味が悪く、一刻も早く脱出したい衝動にかられたて、すぐさま脱出にとりかかろうとしたが、空洞で足をかけるところがなく一時は本当に焦った。あれこれしていると手首部分が雪面に届いたので、硬そうな雪面場所を必死にピッケルを叩き込んだ。ザックを外し、ぽっかり空いた穴からザックをバスケットボールのように両手で放り投げて空身になる(20mの細引きを持っていることを忘れていた)。ピッケルのクリアランス部をつかんで乗りあがろうと自分の体重と格闘。両足をぶらぶらさせらなが渾身の力を振り絞って両肘を雪面上に出し、這い上がることが出来た時はこれで本当に嬉しかった。非力な女性や170cm以下の身長の男性なら果たして脱出できるのだろうか?。ピッケルのありがたさをこんなところで味わった(ポールでは役にたたい)それからというのもは頻繁に表れる雪庇と地面の堺付近の通過にはとても気を使わされた。野伏ヶ岳の登りでは1か所、稜線の不安定な雪の急斜面が危険と判断して右の尾根へ大きくトラバースした。尾根から主稜線に戻るには雪庇を乗り越す必要があったが、途中から兎の足跡をみつけ、その足跡をたどったら雪庇の張り出しが無いところだった。野兎さんに感謝です。稜線に乗りあがると待望の野伏ヶ岳頂上が目の前だった(頂上着14時16分)。ようやく緊張感から解放されてしばらくボーと周囲の山々を眺めていた。北アルプスの山々も鮮明に見えた。飽きることのない山座同定に区切りをつけダイレクト尾根経由で下山にかかる。途中から左の尾根に入らなければならないところを読図をさぼり、どんどん真っすぐに降りてしまって谷筋に入り、登り返すというトラブルもあったが、16時25分ころに正規ルートの林道に飛び出し、駐車場所には、ほぼ予定通りの16時35分時ころに到着した。今回は素晴らしい天気に恵まれて心行くまで雪山の素晴らしさを堪能することができました。月単位で体力の低下を感じる年齢ですが、まだ雪山を楽しめることができるのが嬉しい。
<写真後日掲載>
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<忘備録>
装備:
オスプレーザック38L、ツエルト、細引き、レスキューシート大、 羽根服、ハードシェル750g、手袋(2)、ニット帽、ネックウオーマー、レグウオーマー、純毛上着、ハードギヤーパンツ、スパッツ、ファイントラック下着、ジオライン下着、モンベルブリーフ、キャップ、汗拭きタオル、汗止めバンダナ、キーランド登山靴、高温ホッカイロ、ピッケル720g、アイゼン1,25kg(ペア、袋含む)、ワカン g、ストック500g(ペア)、予備ストックリング、カメラ、ログ用GPS,スマホ、小物類(固形燃料、ライター、防水マッチ、ナイフ、万能修理具、ラテ、モバイルバッテリー、ログ用GPS予備電池、眼鏡リテイナー、カシオプロトレック、コンパス、地図、(忘れた装備:サングラス、非常用チタンマグカップ、日焼け止め)、他
水: 3L(2L容器1個、1L容器1個、ハイドレーションシステム)
食した物: パン2個、バナナ、2個、エネジージェル1個、キャラメル一粒、大福1個、ベイクドチョコバー