ぼけの花

のらりくらり日々感じたこと。
自分のための記録。

最近読んだ本

2017-10-19 16:08:36 | どくしょ

いつも、ある人と世間話やら愚痴垂れたりして散々言い合った後、
「……。要はバランスだね」「だな」
という結果に落ち着く。
人生、いかにバランス取っていくか。

この本は、数年前首都圏連続不審死事件で捕まった木嶋佳苗被告をモチーフにした話。
殺害容疑で逮捕された梶井真奈子の素顔を書きたい週刊誌記者、里佳が主人公。
てっきり梶井の真相を暴いていく話かと思ったら里佳の見えなかった(見たくなかった)過去や現在と向き合うような展開。思ってた方向と違った話でびっくり。

前述の通り、人間いろいろ偏りすぎると生きづらくなる。
というわけでバランス大事よねって話なんだけど、バランス取るには「自分の適量」というものがわかっていた方がいい。
その適量を模索し意外なところからそれを見つけ出していく過程は女として身につまされる思いで読んだ。

それにしてもタイトルにもあるがバターを使った様々な料理の描写がたまらない。
ミスター味っ子かと思った。
これでもかと怒涛のように美味しさの波が押し寄せる文章にヨダレ通り過ぎてもったりするほど。
改めて、美味しい時間がなければわたし人生やっていけないなと思った。


生まれた時から虚弱体質だった主人公ちーちゃん。
そんな娘を救いたいと願う両親はあやしい宗教にのめり込んでいく…
結果、ちーちゃんは他の子と変わらず元気になるが両親はそのおかげ?で益々ハマり引っ越す度に家は小さくなる、側から見れば奇行とも取れる行動、修学旅行のお金も親戚から借りざるを得ない。5歳上の姉はそんな両親に反発し高1で家出。
が、両親は仲が良く自分を愛してくれ、とても優しい。
ちーちゃんも親のことが大好きだ。
これが当たり前の環境で育ってきたちーちゃん。
中3になり両親含め自分が周りからどう見られてるか理解してくる。
悲しい思いもする。
自分のこの先を心配してくれる親戚や友人もいて…。

価値観は人それぞれ。
幸せは人によって千差万別。
他人に自分の価値観を押し付けてはならない…とは思うけど、人を愛する愛したい・大切にしたいという気持ちはいかなる状況であっても自然な気持ち。

感情をあまり出さない淡々としたちーちゃんの目線から書かれるさらさら読みやすい文章は、ものすごく難しい問題提起をして話を終える。
この後ちーちゃんはどんな人生を歩むのだろう。
なんとも言えぬ読後感。
考えさせられる。