みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

太安万侶と因幡の白兎

2018年10月12日 | 俳句日記


稗田阿礼は舎人であった。
舎人とは宮廷に使える雑用係であり、大
、内、小の位があった。
阿礼は大舎人であったのだろう。

大とは今日で言う侍従のことである。
大君や宮様のそばに使え、身の回り全般
の世話をしていた。
抜群に記憶力に優れていたといわれる。

天武天皇は、当時28才のこのお気に入りの彼に内外の歴史書を読ませ、口承され
ていた風土記などを覚えさせて[古事記]の作成をお命じになった。

ところが間も無く天皇が崩御される。
事業は沙汰止みになった。
庇護者を失えば才能があるだけに宮中で
は暮らせない、逆に疎まれる。

菅原道真の例が示す通りである。
稗田という姓からして阿礼は下々の出自
だったのだろう。
阿礼は職を辞し、何処へか消えた。

一方、同時期に天武天皇が正史[日本書紀]
の編纂を命じた太安万侶は、天皇の第三
皇子舎人親王らと作業を続けた。
こちらは閣議を経た国家事業である。



そして25年後、急に第43代元明天皇が
安万侶に[古事記]の完成を命じた。
何故この時期に⁈それは分からない。
ただ前年に平城京への遷都があった。


平城京復元図

更に不可思議なことがある。
[日本書紀]の編纂は、天武天皇の下令から
完成まで39年かかっている。
だが[古事記]は1年足らずで完成させた。

阿礼を再び召し出したかどうかも分かっ
ていない。
召し出したとしても齢60に近い。
いかな天才でも記憶は薄れていたろう。

確かに[日本書紀]というベースはある。
なのに書紀には無い「出雲神話」が多数
[古事記]には登場するのである。
多くは大国主命に関する事柄であった。

「因幡の白兎」もその一つである。
何かがある。

(…つづく)


10月12日〔金〕晴れ
久々に青空が広がった。
秋冷が街行く人の装いを変えた。
我が棲家では灯油の購入を
急き立てる。

巨大IT企業の世界的市場寡占化が
取り沙汰されて来た。
ニューヨーク株式市場の下落が
世界に波及している。

プーチンさんは日露平和条約の
締結を急いでいる。
世界の巨大な渦巻きが動き出した。
日本丸の舵取りや如何?

〈秋冷に 白頭冷たき 頃となり〉放浪子
季語・秋冷(秋)