寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第2841話) 頑張った匂い

2019年09月15日 | 行動

  “先日、長野県に嫁いだ娘が、もうすぐ一歳の孫を連れて一週間ほど遊びに来た。介護施設で働くお婿さんの話になった。毎日仕事で汗だくで帰宅するという。そんなときに娘は、「頑張った匂いがするね」とねぎらうそうだ。「そうなの」と答える私に、娘は「前にお母さんが言ったんだよ」と笑った。
 娘は中学生の時、剣道部に所属。毎日練習に励んでいた。汗まみれで帰宅した娘に、私は「頑張った匂いがするね」とちゃめっ気たっぷりに迎え入れたらしいのだ。当の私は忘れてしまったが、言われた方は覚えていた。そのころの私は「勉強しなさい」とか「はやくしなさい」しか言わなかった。年ごろの娘に向けた数少ない肯定文だったと思う。彼女に深く刻み込まれたであろうその言葉は、長い年月を経て、バトンタッチ。お婿さんへの言葉になったというわけだ。
 飲食店の仕事で忙しい毎日。娘の部活動の大会など応援に行ったことはほとんどない。今でも侮いが残るが、それでも私のひと言が、青春の一ページに挟まっていたことは、うれしい発見だった。これからは孫が成長したときに「頑張った匂いがするね」と、娘がきっとこのフレーズを使うだろう。小さな幸せを感じた出来事だった。”(8月26日付け中日新聞)

 愛知県一宮市の飲食店経営・鈴木さん(女・56)の投稿文です。汗臭さである。「汗臭い!」と言ってしまいそうである。ボクは若いときからすごい汗かきである。ボクは多汗症と思っていた。でもこの歳まで何とか乗り越えてきたので、単なる大汗かきであろう。妻には汗臭いとよく言われてきた。特に人前に行くときはよく注意をされてきた。まあ、そこは妻の気遣いだったろう。「うるさい!」と文句を言うより感謝せねばならなかったろう。でも頑張った後には言われたくないものだ。そこは「頑張った匂いがするね」、と言ってほしいものだ。この言葉は何と和む言葉であろうか。頑張って出た汗臭さなのだから、慰めや褒め言葉であってほしいものだ。
 娘さんは母親のそんな言葉に癒やされたのであろう。言った本人は忘れても言われた娘さんは覚えているのである。今、娘さんは旦那さんにその言葉を返している。良いことが伝わる、こういう流れはいいものである。一つの恩送りである。こういうことが普通になると、社会はいくらでもよくなる。ボクのこの「話・話」 はその仲介作業のつもりである。そうなるとボクも嬉しい。


1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (野のはな)
2019-09-16 11:07:16
旅 日常を離れてそこは別天地
エプロンを外して旅の人になろ
残暑
台風が残していった爪の跡
こんなにも電気に頼っている時代
いつどこで災難にあうかもしれず
結論を先に延ばしているすべて
ぽっかりと時間が空いている不安
忙しくしている方が安心で

コメントを投稿