寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3144話) ヨモギ

2021年05月23日 | 出来事

 “晴れた朝、散歩をしていると草を摘んでいる婦人に出会いました。「何を摘んでおられるのですか?」と尋ねたら「ヨモギですよ」と日焼けした女性の顔から笑みがこぼれました。「よもぎだんごを作ろうと思って・・・」とも。思わず私も「懐かしいですね」と返しました。
 戦後間もなく母は田のあぜに自生するヨモギを摘み、団子を作ってくれました。できあがると仏壇に供えた後、家族でいただきました。お菓子などあまりない時代です。少し薬草のようなにおいながら独特の食膳がする素朴な団子は、わんぱく少年の胃袋を喜ばせるには十分でした。遠い昔のあの日がよみがえってきました。”(4月29日付け中日新聞)

 滋賀県愛荘町の自営業・青木さん(男・81)の投稿文です。思い出に残っている植物を時折取り上げている。ヨモギももう記憶の中の植物である。でも実際には今も生えていて、雑草として時折抜いている。青木さんも、母親がヨモギ団子を作ってくれた思い出があった。ボクはよもぎ餅である。米と一緒に突き込むのである。小学生の頃のことであろうか。
 この「話・話」 では、土筆やセリや果実の話も取り上げた。先日はタニシを取り上げたし、イナゴの話もした。昔はいろいろなものを自分でまかなった。こんなことをした理由は何であろうか。あまりものを売ってなかった、買う余裕がなかった、などであろうか。自然が豊かであった、こともあろう。いろいろあろうが、ボクに一つはっきり言えることは、時間的余裕があったからである。自分でこういうものをまかなうには時間的余裕がないとできない。ヨモギもそうだ。栽培している訳ではない。探して取って、整理するには時間がかかる。豊かになるとは、時間的余裕を持つのもその一つである。本当に豊かになったのであろうか。


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