寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第2656話) アサガオの思い出

2018年08月10日 | 活動

 “「せんせいあのね」。この文章から、私の作文は始まった。小学一年の私は、夏休みの自由研究でアサガオを育てた。二階の屋根までネットを張り、一日にいくつの花が咲いたかを毎日数えた。一日で百個以上の花が咲いた日もあった。そのことについて学校で作文にし、賞をもらったのだった。
 そのころ、私は担任の女の先生が大好きだった。その先生の明るい笑顔は、まるでアサガオの花のようにすてきだった。その先生に向けて書いた作文のラストはこうだ。「せんせいあのね、らいねんはせんせいもいっしょにあさがおをそだてようね」
 あれから約三十年の月日が流れた。今でも私の一番好きな花はアサガオだ。あの時に採れたアサガオの種は、何十年も机の引き出しの中で大切に取ってある。夏が来ると思い出す、たくさんのアサガオの花と大好きな先生のすてきな笑顔。
 三十年ぶりの、あの作文の続き。「先生あのね、私は今でもアサガオが大好きです。あのころの楽しい思い出が、私を支えてくれています。また、先生の笑顔を見にうかがいますから、いつまでも元気でいてくださいね」”(7月24日付け中日新聞)

 静岡県磐田市のパート・古山さん(女・37)の投稿文です。アサガオの栽培は今でも小学校で行われているようである。昨年からグラウンドゴルフを始めるようになり、その練習場所は小学校の校庭である。学校へ行くと、アサガオの鉢がたくさん並んでいる。それで知ったのである。
 古山さんには、こんなアサアガオの思い出があった。作文に書き賞までもらった。好きな先生であった。忘れられない出来事である。こうした思い出がどのくらいあるか。それがその人の豊かさであろう。
 今年ボクは、何十年ぶりかにアサアガオを育てた。園芸店へ行った時、何気なくアサガオの苗を1本買った。大きめの鉢に植えて育てた。そして屋上への階段を使って紐を張った。すくすく伸び何十個かの花を付けた。しかし、この暑さか、まもなく勢いがなくなり花の数が少なくなった。根元から1m近くで切った。ところが今また息を吹き返しているのである。そして今朝また咲いた。4個の花が見える。