寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
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(第2641話) 固定電話

2018年07月10日 | 知識

 “娘が小学生になってからわが家の固定電話が活躍するようになった。わが子が通う幼稚園と小学校はいずれも保護者の連絡先などが載った名簿を家庭に配っていないが、町内の子ども会では個人情報の一部が載った名簿が配られ、それを見た友達が小学生の娘に「遊ぼう」と電話をかけてくる。家族に電話を取り次ぐのは何年ぶりだろう。結婚して十二年目だが、夫への電話を取り次いだことはこれまでに一度もない気がする。
 私が子どもの頃、家族に電話を取り次ぐことでそれぞれの交友関係を緩やかに把握していた。家族の目と耳を気にしつつ男の子からめ電話に出たりドキドキしながら男の子の家に電話をかけたりしたことが懐かしい。親戚からの電話なら親に取り次ぐ前に一言二言話したものだ。それが今はたいてい直接個人の携帯電話にかかってくる。便利になった半面、人との関わりが減ったことが私は寂しい。”(6月21日付け中日新聞)

 愛知県江南市の主婦・伊藤さん(36)の投稿文です。今では固定電話のない家庭もあるようになった。若い家族ではかなりあるのではなかろうか。携帯電話は個人のもの、固定電話は家族共有のもの、大きく違うのである。世の中、いろいろな面で個人単位になっているが、それが家族までに広がっている。これは、伊藤さんの文でも分かるように繋がりを希薄にしてるのである。
 ボクはスマホを、妻は携帯電話を持っているが、それだけに頼っている訳ではない。固定電話にもよくかかってくる。お互い取り次ぎもよく行う。伊藤さんの文にもあるように、取り次ぐ前に一言二言話す人もある。伊藤さんは「人との関わりが減ったことが私は寂しい」と言われる。36歳の伊藤さんにしてこのように言われるのではあるから、70歳超えのボクらにしたらどんな思いだろうか。
 問題がない時は一人一人の方が楽でいい。ところが人生、問題ばかりである。その時は人の助けがいる。その時平生の繋がりが生きてくる。新聞等を読んでいると、一人で悩んでいる人がいかに多いかを知る。本当に住みよい社会に進んでいるのだろうか。