業務システムでは、顧客管理を行うために部署と取引先の関係を管理したり、社員(担当者)と取引先の関係を管理したりする必要があります。
ここでは、部署(内部組織)や取引先(外部組織)、取引先(外部組織)と担当者、部署(内部組織)と担当者及び担当者どうしの関係を管理するためのモデルパターンについて記述していきます。
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【自己参照関係による組織間関係の管理】
通常、企業の組織というものは階層関係を持っています。
組織間の関係が階層関係となっている場合、組織エンティティに自己参照関係を定義することにより、組織間の関係を管理することができます。
(図1)階層型組織の管理
ただし、組織エンティティに自己参照関係を定義するという場合は、次のことが前提となります。
・ある組織は1つの上位にのみ従属する
もしも、上位組織が複数存在するという場合は、自己参照関係をその数だけ追加しなければなりません。(属性継承を行う為、結果的にテーブルにカラムを追加する必要があります。)
また、人的資源の中には、部署(内部組織)と担当者、外部組織すなわち取引先も含めて考えるということにするのであれば、担当者間の上司部下の関係や取引先と担当者の関係というものも、この自己参照関係を使って定義することが可能です。
ただし、前述の通りある担当者は1つの部署(内部組織)にのみ所属し、ある取引先は1人の担当者が担当するという条件が付きます。
また、それぞれの関係を管理したいということであれば、組織間の上下関係を管理するためのリレーション、担当者間の上下関係を管理するためのリレーション、担当者と取引先の関係を管理するためのリレーションをそれぞれ定義する必要があります。
(図2)自己参照で複数の関係を管理するケース
<<自己参照関係の関連説明>>
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【構成関係による組織間関係の管理】
しかし、実際には担当者は一つの部署(内部組織)にのみ所属するとは限りません。
例えば、マトリックス型の組織形態であれば、本来の職能別の組織とは別にプロジェクトに所属するということもあるでしょう。
この場合は、ある担当者が職能別の組織とプロジェクトという組織両方に所属するということになります。(また、組織には複数の担当者が所属しているはずです。)
また、過去にどのような部署に所属したことがあるのかを履歴で管理したいといった場合も、所属したことのある組織は複数存在するはずです。
入社以来ずっと一つの部署で仕事をしてきたという人もいるかもしれませんが、転属があることを考えれば、複数の所属部署を持つ可能性が当然あります。
取引先との関係についても担当者が一人だけとは限りません。
例えば、取引先に対して営業担当者とQA担当者と事務処理担当者を割り当てるというケースです。
その場合は、取引先に対して複数の担当者が存在することになります。(また、担当者は複数の取引先を担当します。)
ということは、部署(内部組織)と担当者、取引先(外部組織)と担当者との間には、N対M関係が存在することになります。
N対M関係が存在する場合は、中間(関連)エンティティを追加し、1対N関係に分解する必要があるということは前述しました。
ここでも同様に、”人的資源”自身にN対M関係が存在しますので、中間(関連)エンティティを追加し、それぞれの関係を管理できるようにします。
(図3)構成関係で人的資源間の関係を管理するケース
もしも、”部署”、”取引先”、”担当者”を別々のエンティティとして定義した場合は、それぞれの関係を管理するためには、”部署”と”取引先”、”部署”と”部署”、”部署”と”担当者”と”担当者”と”担当者”の関係をそれぞれ管理するためのエンティティが別途必要となってきます。
(図4)汎化しなかった場合の関係の管理
しかし、単純に取引先の担当はどの組織あるいは社員なのかを管理するだけでは十分ではありません。
誰が、どのような役割を果たすのかについても管理しておく必要があります。
例えば、営業担当と納品担当、クレーム対応といったさまざまな担当が存在しているはずです。
また、どのような関係を管理していく必要があるのかも、状況によって変化していきます。
このような組織と組織、組織と個人、個人と個人の関係を管理する際に、以下の構造にします。
(図5)人的資源間の関係種類の管理
人的資源間の関係を“人的資源関係”エンティティで管理し、“人的役割タイプ”では、各人的資源(担当者、取引先、部署)がどのような役割(振る舞い)を当該業務で果たしているのかを管理していきます。
また、“人的関係種類” を定義することにより、ある役割とある役割の組み合せしか許されないといった管理を行うことができます。
(図6)人的資源関係種類のテーブルイメージ
さらに、このパターンを適用することによって、テーブルや属性の追加を行うことなく、人的資源間の関係を管理することができるようになります。
例えば、顧客と担当者との間係で「第1営業担当」と「第2営業担当」といった関係を管理する必要が発生したとします。
その場合はまず“人的役割タイプ”に「第1営業担当」と「第2営業担当」を追加します。
次に「第1営業担当」と「第2営業担当」がどのような役割タイプの組み合わせで使用できるのかを管理するために、“人的関係種類”に”顧客と第1営業担当者””顧客と第2営業担当者”の組み合わせを追加します。
そして、“人的資源関係”に「どの顧客と担当者」がこの「顧客-第1営業担当」「顧客-第2営業担当」という関係に当てはまるのかを登録することにより、当初想定していなかった関係が発生したとしても、管理することが可能となります。
(図7)レコード追加による人的資源関係の管理イメージ
<<構成関係の関連説明>>
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【人的資源間関係のパターン整理】
人的資源間の関係を管理するためのパターンとして、以下のパターンが存在します。
①自己参照による関係管理
取引先を分類分けする区分が予め決められており、変化しないという場合には“取引先”エンティティの属性として「取引先区分(分類)」を持たせます。
②構成関係による関係管理
人的資源間に複数の関係が存在する場合、“人的資源”と“人的資源”との間にN対M関係が存在することになりますので、中間(関連)エンティティを追加し管理します。
(図8)人的資源間の関係管理パターン
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