父の手術

ひと月ほど前のこと、一人暮らしをさせている父親からいきなり「今度手術するから付き添いに来て」と言いつけられた。

まったく病気知らずの人なので何事か、とびっくりしたが、聞けば目の手術、それも下がってきたまぶたを上げるための手術だという。

そう言えば２、３年前から年のためにまぶたが下がり、視野が狭くなって見えにくいと気にしていたのは知っていた。
そうしたところ、たまたま見ていた夕方のニュース番組でこれは眼瞼下垂症と呼ばれ、手術で治すことができ、しかも保険が適応されると知った。
この同じ番組を父親も見ていて、すぐに病院へ行って手術を決めてきたと言うから驚いた。

手術は形成外科の担当になるが、忙しいと見えておとといやっと手術。
付き添いと言っても何もすることがないが、家族を呼ばれたのは高齢のためだろう。
２時間の予定が３時間もかかったが、局所麻酔で痛みもなかったらしく、若い看護婦さんとうれしそうに話しながら無事生還。

手術から３日目現在、抜糸前でまだ傷跡が目立つが腫れはだいぶ引いて、目は確かにパッチリした。
これで保険も使えるのだから美容整形よりずっといい。
私もやってもらおうかしら。

それにしても母の墓参りに行っては「こんなところに一人で入って、寂しいだろう」なんてつぶやいている父親、自分も早くあちらに行きたい、とでも思っているのかと思ったらとんでもない。
なにやらサプリメントの類をネットで見つけては注文しているし、まだまだ娑婆っ気は強いらしい。

まだしばらくは一人で頑張ってくれそうだ。


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