キャプテンハーロック (2013年 荒巻伸志 監督作品)
はるかな未来、高度に発達した人類は、緩やかな滅びの時を迎えていた。
そんな時代に反旗を翻し、宇宙の深淵を旅し続ける男…宇宙海賊キャプテンハーロック。
70年代のSFアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』をフルCGでリブート。
キャプテンハーロックは、原作漫画はもちろん、1978年のTVアニメや、
主演映画「わが青春のアルカディア」なんかは一通りチェックしておりまして、
熱烈なファンと言うほどでもないのですが、「兄貴」と尊称をつけて呼ぶ程度には好きです。
で、このCG映画。
人気俳優をキャスティングするなどそれなりに話題作りをされていたものの、
あまり評判を聞かなかったので「もしや、地雷…!?」と躊躇してました。
遅ればせながら今回チェックしたのですが、個人的にかなり好き!
ちょっと内容が渋すぎるかなーとは思うのですが、
往年の松本零士らしい、泥臭く、どこか哀愁の漂う雰囲気がよく生かされてたと思います!
声を当てたイケメン俳優のファンには、こういう話はウケないでしょうけども。
フルCGなんですが、松本先生特有のキャラクターのラインは感じられて、
うまい具合にリアルさの落としどころを見つけたなあという感じ。
幽霊船風のアレンジが施されたアルカディア号も、非常に格好良かったです。
ただ、肝心のストーリーは、お世辞にもまとまっているとは言い難い。
ざっくり「こんな話」って説明できないんですよね。
基本的にキャプテンハーロックって雰囲気ヒーローというか、
本人がドラマをぐいぐい引っ張っていくタイプではありません。
今回も、本作オリジナルの「ヤマ」と「イソラ」の二人がドラマの中心で、
ハーロック自身が何考えてるのかは、相変わらず不明瞭だったような気がします。
特に、中盤以降明かされる「ハーロックの背負った業」については、
どーしてそうなった!??と疑問符が浮かびまくりでした。
この映画に限らず、日本のCGアニメって
「画」の格好よさを優先して、話の整合性は重視されないように感じます。
名前出して悪いけど、「ベクシル」とか、酷かったもんなあ…
あと、何かモヤモヤ光らせるのが好きだよな、とか。
とはいえ、この作品の場合は作り手の愛が感じられるというか、
ヒドイシーンも多いけど嫌いになれないんですよね。
例えば、有紀蛍(ケイ)が敵の集団に突っ込んで行って、
ひとしきり暴れた後、あっという間に取り囲まれるシーン。
普通に考えたら単なるお馬鹿さんにも見えてしまいますが、
「みんな、二丁拳銃ぶっ放すタフな女の子、好きだよね!」
みたいな作り手の無邪気さを感じて、思わず優しい気持ちになってしまいます。
とりあえず、100分ちょいで話は完結しているし、
往年の松本作品の世界観も大事にされているし、
なによりビジュアルが、日本アニメの新しい時代を感じさせる素晴らしさ。
あまり期待しすぎなければ(笑)、充分楽しめる映画だと思います!