出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

装丁のこだわり その2

2005年05月30日 | 制作業務
編集者のブログなどでたまに出てくる装丁。デザイナー(とのやり取り)の話が多くてあまりついていけない(予算のせいで)。

けど、こだわる気持ちは同じだと思っている。「書籍編集者の裏ブログ」の井戸風郎さん、「0.5ミリ単位にこだわって…」満足されてる様子がよくわかる。

カバーデザインについては、私独自のこだわり、予備カバーの折り易さについて前に書きました。で、他にもこだわりがある。

オビが嫌い!

なので最近は上製本にもつけない。

売る立場としてはオビの役割はちゃんと分かってる。めちゃくちゃ売れたら「5万人が感動!」とか入れたオビを巻いても構わないかなと思う。けど、とりあえず新刊のときはつけない。本の説明とか宣伝文句は、カバーにすっきり入れるのが好き。

以前友人に「帯もとっとかないと古本屋で売れない」とか何とか言われて、頭にきた。友人に頭に来たんじゃなくて、オビが本の一部化してるのが気に食わない。あくまでも、包装紙的おまけだと思っている。

カバーも邪魔なので読むときは外すけど、さすがに「汚れ除け」のカバーは許す。汚れ除けなんていうと、装丁にこだわってる本好きがブーブー「そんなもんじゃないだろ!」とか言いそうだが、元々必要な機能があって、それを美しく…というのが正しい順番と思う。

私も「Book Design」とか装丁家の個展なんかで買った「これまでのお仕事」集とか、持ってますよ。そういう本の価値も分かります。外見が好きで買った本もある。

ちなみに、オビがデザイン的に本の一部になってる本、あれはオビとは言わない(私は)。カバーが2枚、あるいは飾り。

でも、そういう本ばっかりじゃないでしょう。言葉の本は、言葉で買う。中の言葉で買う。いいじゃん、それで。

カバーはいいとして、そう、オビ!

まず読むのに邪魔だ。出版社としても帯がないと改修がラクけど、それだけじゃない。読むのに邪魔。読者としても「オビはいらん!」と主張したい。

マニュアルっぽい本にはオビなしも結構あるけど、そういう本の場合はどうでもいい。逆に、残しておきたい本に、絶対いらない。

オビを外して、下(カバー)に同じ図柄があったりすると、本当にムカつく。なら付けるなよ!と言いたい。あと、オビありならバランスいいけど、カバーだけでは下のほうが妙に「スカッ」としてる本、よくありますよね。アホかいなと思う。カバーの下のほう、忘れちゃったんですかと言いたい。

だいたい「誰それが絶賛している」なんて情報を、いつまでもその本にくっつけておきたくない。誰それはどうでもいいし、私以外にも49999人が買ったなんてことも、どうでもいい。

もしかして、うちの本は宣伝情報(普通のオビにあるような煽り文句)が少なくて売れないこともあるかもしれない。でも、いいんです。うちのこだわりだから。

ただし、書店に置いたときの違和感には気をつけた。最近の新刊は上製だったので、オビがないと変といえば変。カバーのデザインで、上から3分の2と残り3分の1に何となく分かれてるデザインにしました。

すごい満足。