出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

企画を立てるのは、特に好きじゃないんです

2005年05月17日 | 制作業務
本題に入る前に、ようやく「先日書いた直納」の伝票の処理に行った。

日販は受付嬢がいないので、あちこちできいて(他の部署について知らない社員が多いようだ)、ある女性のところにたどりついた。いつも見本納品をしているカウンターの部屋の、ずーっと先だった。部屋の角っこ。その女性の机の上には、「伝票受付は○時まで」と書いたスタンドがあった。

王子の怖いお姉さんと同じパターンかと思ったが、丁寧に対応してくれた。ま、報告まで。

で、本題。

私は並行して複数の本を進めることはないが、不器用なんじゃなくて、ものぐさなせいだと思う。どんなにものぐさでも一応、年に2冊出すという目標を立てている。企画して書いてもらって編集して印刷して売ってもらう手配をして売って…で、半年。自分では結構いいペースだと思ってる。(もちろん自分以外の人は「いいペース」なんて思っちゃいないのは自覚している)

話はそれるが、参考になると何度もコメントいただいた「版元ドットコム」に、最近の新会員の自己紹介が載っていた。その中に「年に2冊、口座を借りて出している」云々とあった。何が書いてあったかは忘れたけど、「年に2冊」というのが「とてもじゃないけど版元とは言えない」みたいな印象だったので、ちょっとビクッとした。

それはいいとして、以前、突然取次口座ができてしまって出版企画に困ったときのことを書いたが、それは今でも基本的に変わらない。

新刊を出すと、あーもう次の1冊か~、どうしようってな感じ。なぜか作ってる最中は「あれも作りたい、これもやりたい」と頭に浮かぶ。が、最近出版関係の人と話していて、「新しい出版社は、ジャンルを決めよ」とほとんどの人がアドバイスしてくれるので、今回は一応そのへんも考慮する。

が、あれこれ思いついた企画を備忘録(ずっと前の束見本を利用、すごく便利)に書いているけど、今までに出した本とちと違うジャンルのメモが多い。

「新たな半年」を迎えて、アドバイスを考えながら備忘録を眺めてるんだけど、ただの思いつきの羅列だから、ジャンルなんてめちゃくちゃだ。

確かに、書店営業にしろ読者の認知にしろ、ジャンルが確立されていると良いという理屈はわかる。わかるが、本音は絞りたくない。絞ると備忘録のメモのほとんどがボツだし、それ以前に今後はメモが激変すると想像する。

メモしてるときに芋づる式に企画立ててってもいいんけど、どうも「類書」というのに興味がない。違う切り口とか考えればいいんだけど、どうも「搾り出している」という感じで好きになれない。もちろん、ジャンルと類書は別問題なんですけどね。

というわけで、結局お気に入りの企画から「半年」をキーワードにひとつ選んだ。本日。

まあ、一人の人間が思いついたことなので根っこは繋がってるから、ジャンルは無理やりこじつけることができそうだ。

とりあえず「半年」の第1歩を踏み出せたので、まあよしとする。この時期はあまり好きな仕事とはいえないので、ホッとする。(原稿読んだりカバーデザインしたり納品するのが好き)

編集者になりたい人って企画を立てるのが好きらしいが、このへんが出版屋と編集者の違いだろうか。