遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(460) 小説 いつか来た道 また行く道(20) 他 プロの道

2023-08-13 12:19:28 | つぶやき
            プロの道(2023.8.1日作)



 物事には それぞれ
 その道の プロの道がある
 はた目には何気ない 小さな事が
 プロの眼から見た時には 容易に
 許容 し 難いものとなる
 その道には その道の定め 掟がある
 その定め 掟を会得し得た者のみが
 真のプロ
 あらゆる物 総ては 知識ではない
 自身の身に付いた 習性
 その道のプロとは
 その習性を身に付けた人
 考えるより先に 身体が動く
 手足が動く
 感覚は 知識を上まわる  




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            いつか来た道 また行く道(20)




 

 中沢の体がソファーの中でどうにか安定すると、そのままにして置いて玄関へ向かった。
 玄関ではゴムの長靴を取り出して、すぐに履けるようにした。
 更にはドアを開けた。 
 明かりは点けなかった。
 遠目にでも人の居る気配を感じさせては拙い !
 居間に戻るとすぐに中沢の死体を担ぎ出す作業に取り掛かった。
 一旦、力の抜けた死体をソファーの背もたれに寄せかけて正常な姿勢に戻してから背負う事にした。
 動かなくなった中沢の足元に背中を向けてひざまずき、うしろ向きのままで中沢の両手を探って自分の肩にもたせ掛けた。
 それで中沢を背負う形になった。
 立ち上がるのが一苦労だった。
 彼はわたしより背が高い上に、いくら麻薬中毒者とはいえ男性だった。わたしよりはやっぱり体重があった。
 彼を背負ったままで前屈みになり、立ち上がろうとしたが何かの支えがなければ無理だった。
 中沢を背負ったまま眼の前のテーブルににじり寄り両手を付いて、どうにか立ち上がる事が出来た。
 中沢の足首より先は、床の上を引きずられる形になったが、それは仕方がなかった。
 中沢を背負って運ぶ作業は重量が肩や背中に掛かったとはいえ,思いの外、支障が無くて済んだ。仕事は順調に進んだ。
 玄関に辿り着くと靴入れに掴まり、中沢を背負ったままで長靴に足を入れた。
 どうにか長靴を履き終わるとすぐにドアが開け放しになっている玄関を出た。
 辺りは星明りの他は何も無い闇だったが、建物の裏側を目指して歩き始めた。
 普段から見馴れている勝手知った別荘の敷地内だった。闇の中でも方角は分かった。
 裸のままでわたしに背負われている中沢の足首が落ち葉を掻き分ける音がした。
 長時間の力仕事をした事のないわたしに取っては、動かなくなった中沢を背負って歩く仕事は思いの外の重労働だった。早くも身体中に汗の滲み出ているのが意識された。
 それでもわたしは休まなかった。今夜中に終わらせてしまうのだ !
 自分に向かって何度も何度も言い聞かせるようにして呟いていた。
 おおよそ五十メートルか六十メートルだろうか、建物と屋敷内に茂る白樺の樹々との間の小道を辿るとやがて、ようやく闇に馴れて来た眼に建物の裏手にある白樺の林の樹々の一本一本が映るようになって来た。
 あと少しだ ! 
 林の全体像は見えなくても、その姿は想像出来た。
 ようやく半分の行程に辿り着いた、という思いだった。
 いったい、時間はどれ程経っているんだろう ?
  時間の感覚は全く掴めなかったが、それでも夜が明けるにはまだ充分な時が残されている事だけは分かって安心感を誘った。
 
 白樺の林の中は思いの外、明るかった。白い木肌が闇に映えるせいなのか ?
 樹々の梢の間からは一面に散りばめたように蒼空に瞬く星の輝きが眼に映った。わたしがこの地に来て、何時も感動する夜空の星明りだった。
 その明かりを眼にした時、何故かわたしは幸せとも言えるような気分に包まれた。気力の充実感を意識した。
 さあ、一刻も早くこの仕事をやり遂げてしまおう。
 不安な思いはなかった。仕事の完遂への自信が漲った。
 なおも中沢の死体を背負ったまま白樺の樹々の間を縫って奥へ奥へと進んだ。
 別荘地と隣接する雑木林とも言える山林との間を仕切る境界線までは、やはり四、五十メートル程の距離があった。その一番奥へ向かって進んだ。
 境界線はコンクリートの土台の上に四段に張り巡らした太い棘を持った針金で仕切られていた。外側からも内側からもその針金を潜り抜けて行き来する事は、それなりの用具を備えなければ一見、不可能に思えた。
 その境界線のコンクリートの元には風に吹き寄せられた落ち葉が一段高く積もっているのが、夜目にも判別出来た。
 すぐにその場所が仕事の場所としては最適だと、判断した。
 既に、わたしの全身は汗だらけになっていた。額から頬を伝わって汗が流れ落ちた。 
 その汗を拭う事もせずにひたすら、中沢の裸体を背負って自分の仕事の完遂の為に白樺の樹々の間を進み続けた。
 目的の場所まで来た時には、境界線との間は二メートル程になっていた。
 その距離を悟った時、思わず安堵感に捉われて、よし、此処でよし ! と呟いていた。全身からは一気に力が抜けて背負った中沢の裸体を放り出していた。と同時に今まで全身体に掛かっていた中沢の体重から一気に解放された、その解放感と共に全身からも力が抜けて思わずよろめき、危うく傍にあった一本の木に掴まって転倒するのを防いでいた。





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             takeziisan様

             
              白山 二週間だか三週間だか前にNHKで放送していました
              普段 あまりテレビを観る事がなく 民法 NHK  合わせても週に定期的に観る番組は
               三 四本しかありませんが その中の一つの番組で放送していました
              咲き誇る野草の数々 美しいと思って観ていました
              あの環境の中に身を置く 身も心も洗われ 巷の灰塵も拭い去られるのでは 
              という気がします
              美しいだけではなく 豪快な風景 こうして見ていますと
              自分自身もその環境に身を置いたような気分になって来ます
              その実際の旅 いい思い出ですね
                長崎の鐘    
              当時 藤山一郎も心を込めて歌っていたように思い
              その歌が一層、身に沁みた記憶があります
              それにしても戦争を仕掛ける人間のおろかさ 話しにもなりません
               ブト わたくしの地方では ブヨ でした
              近年 この猛暑のせいかブヨは勿論 蚊もいないように思います
              蚊取り線香も 昔懐かしい蚊帳も不用です
              雨 恵みの雨 実感出来ます
              それにしても畑へ行けば どうする どうする ?
               持てる者の贅沢な悩み  その新鮮さと共に羨ましい限りです  
              体操 年齢と共に肉体も衰える一方です タンパク質系の食事と運動              
              年齢と共に欠かせないもののような気がします
              わたしは毎朝 一時間半程の全身体操を行っていますが
              その前に朝 起きた布団の上で猫体操と共に 正座して
              その上に両手を突き ボートを漕ぐ時のように体を前後させて            
              腰の運動もしています その結果かどうか 腰痛もありません
              以前は神経痛などもあったのですが 今は消えました
              ただ 年齢と共の筋肉の衰えはどうする事も出来ず
              重い物を運んだ時にはすぐに腰が痛くなります
              それもひと時休めばすぐに治りますが
              いずれにしても時の流れは速い 人の肉体は衰えるだけ
              それが実感です
              どうぞ 御無理をなさらず 何時までもお元気で
              この記事が末永く続いてゆかれるよう願っております             
               楽しいひと時を有り難う御座いました