人は・・・(2022.7.18日~20日作)
人は流れの中に漂う小舟
人の生は束の間の蜃気楼
やがて 消えてゆく
人に何かをして貰おう と思うな
何かをしてやろう と思え
そうすれば人は
自ずと自分に力を貸してくれる
人の心は山のこだま
共鳴 反響 反応する
人はみな 誰もが
自惚れを持っている
自分はあんなバカな事はしない
と言いながら
それより大きな失敗をする
人はみな 誰もが
なんらかの天才 得意な分野を持っている
それを活かせるか 活かせないか
あとはその人の 努力次第
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人魚の唄(2)
部落の人達はそれでもなお、男に係わろうとはしなかった。男の尋常ではない様子と共に、男が別段、部落の人達に迷惑を掛けるでもなく、静かに暮らしている以上、あえて気にする必要もないように思えた。それに、畑の作物の盗まれる事もなくなっていた。男の小屋のそばには小さな畑が作られていた。
男はそれからもほぼ毎日、部落の中へ姿を見せた。いつでも決まったように中心地点の十字路を通って、首を振り、肩を揺すって歩く例の姿で何処かへ行った。ある時、物好きな子供達が後をつけた事があった。だが、男は特別に何処へ行くでもなく、部落の中のあちこちを歩き廻っただけでまた、自分の小屋へ帰って行った。部落の人達はその話しを聞いてより一層、男の尋常ではない事を確信するようになっていた。
海の上に奇妙な現象が見られる、と噂が広がったのは夏の終わりの頃であった。真夜中に海全体が一面、真昼のように明るくなって、無数の生き物たちが首から上だけを出して海面に浮かんでいるというのだった。
村人達はそんな話しを人から人へと伝え合った。
だが、その光景を実際に見た人となると誰もいなかった。
ただ一つ、はっきりしている事は、海辺に一番近く、松林の中に家がある「安さん」のかあちゃんが、初めてその話しを口にしたという事実だった。かあちゃんの夫、安さんがその現象を眼にしていた。しかし、安さんは翌朝、死体になって波打ち際に浮かんでいたーー。
その夜、安さんは海の方から聞こえて来る奇妙な声を耳にしていた。
大勢の人達が一斉に歌を唄っているような低く重い声だった。
「あんだべえ ?」
安さんは言って仕事の手を止めた。
「あに(何)が ?」
かあちゃんは突然の安さんの言葉に、燈心の明かりの下でしていた網を繕う手も休めずに聞いた。
「変な声がしでる」
安さんはなお、不審げな様子で耳を澄ましたまま言った。
「変な声 ?」
かあちゃんはなお、訳が分からずに聞き返した。
「うん。大勢の人間があにがのうだ(歌)ば唄ってるみでえだ」
「うだ ?」
「うん。おめえにはきご(聞)えねえが」
「わたしには、あんにもきこえねえい」
事実、かあちゃんには何も聞こえなかった。
安さんはだが、耳を澄ましたままだった。それから、ふと、立ち上がると座敷から玄関へ降りて行って、引き戸を支えた心張り棒を外して戸を開けた。
座敷に居るかあちゃんの耳にもその音が届いた。と同時に安さんは、「おおう !」と、息を呑むように言ってあとは無言だった。
「あんだね ?」
かあちゃんは気になって声を掛けた。
「今頃、あんだべえ ?」
安さんは驚きを込めた声で言った。
「あにが ?」
かあちゃんは、また聞いた。
「海の上がまっびかりだ」
安さんは言った。
「海の上が ?」
「うん」
「だって、今夜は月夜だべえよ。月夜にあがるいのは当たり前だべえね」
「いや、それどは違う。あれは月夜のあがるさではねえ。へんなあがるさだよ」
安さんはなおも信じ兼ねるように言ってから突然、ひそめるような声になって、
「海の上にいっぺえ人がいる !」
と言った。
「人が ?」
かあちゃんはまた聞き返した。
「うん、波に揺られで浮がんでる」
かあちゃんは言葉が出なかった。
安さんの言ってる事があまりに馬鹿げているように思えて話しにも何もならないと思った。
「そんな所で詰まらねえ事ば言ってねえで、早ぐこっちさ来て網ば直してしまわねえど、明日の朝に間に合わねえよ。あんた、夢でもみでんじゃないの」
かあちゃんは軽くあしらう口調で言った。
「バガ言うな。おめえもこっちさ来て見でみろ。ほら、ちゃんと見える」
安さんはムキになって言った。
「やだよ、わたしは」
かあちゃんは網を繕う手を休めずに安さんの言葉を否して言った。
安さんはその言葉には答えなかった。そして、暫くの沈黙があってから、突然、安さんがひそめた声で、
「変な生き物だ ! 来てみろ ! 来てみろ !」
と、叫ぶように言った。
「やだよ、わたしは」
かあちゃんはやはり相手にしなかった。自分がからかわれているようにさえ思った。
「いやあ、変な生き物だあ。砂の上にいっぺえ寝そべってる。ほら、話しによく出てくる人魚っつう奴にそっくりだ。きっと、ありゃあ、人魚だよ。人魚だよ」
安さんは興奮が抑え切れないようだった。
「いいがら、早ぐこっちさ来て、この網ば直してよ。まだ半分も仕事が進んでないんだよ」
かあちゃんはさすがに腹が立って来てきつい言葉で言った。
安さんはそれには答えなかった。
暫くは二人の間に無言が続いた。
かあちゃんはそのうちに安さんの無言と共にあまりに静かな様子が気になって声を掛けた。
「あんた。あんた」
安さんはそれには答えなかった。
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takeziisan様
何時も有難う御座います
奥様もお眼をお通し戴いたのでしょうか
御礼 感謝申し上げます
befohe~after
なんとまあ この繁茂ぶり 凄いですね
重労働が偲ばれます
それにしても雑草の生命力の強さ
何処から来るのでしょうか 画面で見る自然の豊かさ
羨ましい限りです
鬼ユリ ユリではこの花が一番好きです
子供の頃 自然の中に何気なく咲いていたその姿が
意識の底に残っているせいかも知れません
もしかしたら過去最高の出来かも ?
写真 拝見しました 艶やかさ 伝わって来ます
作業の苦労があっても この喜びがあればこそ
続けられるのでしょうね 羨ましさが募ります
グッドバイ ジミー 知りませんでした
哀しき十六才 流行りましたよね これと対だったとは
カキオドシ 小さな花ではないでしょうか わが家の近くでも
よく眼にしますが
今年は何故か 鉢植えのボケにカリンに似た小さな実が一つだけ
着いていて今もあります 初めてです ボケにも実が付くのかなと思っています
今回も自然の風景 楽しませて戴きました
知らない所へ旅が出来ます
何時も有難う御座います
御礼申し上げます
桂連様
有難う御座います
新作 拝見しました
動物は老いに対して自覚出来るのか出来ないのか
多分 自覚出来ないと思いますが それが幸なのか不幸なのか
人間は自覚出来るだけに対処も出来ますが いずれにしても
前回 拝見した御祖母様の言葉 身体は動かさなければ死ぬの言葉通り
身体は動かす事が大切ですね 医者より自分で治す
やはりこれが基本のようです わたくしはほとんど医者にかかりません
神経痛も花粉症も軽い歯痛などもほとんど指圧で治しました
柔軟体操は毎日欠かしません
他人頼りは何事も良くないようです 自分は自分で自分に責任を持つ
これが大切だと思います
ポワント 素人目には大変な技に思えます
これが軽く出来るという事は才能有り という事でしょう
何時も先生との遣り取り 楽しく拝見させて戴いております
楽しい雰囲気が自ずと眼の前に浮かんで来ます こんな時間が持てる事は
長生きに通じるという事ではないのでしょうか お幸せです
何時も書きますが 良い御趣味を見付けられました
お忙しい時間の中 何時も御眼をお通し戴き
感謝 御礼を申し上げます
有難う御座います