原題:『Jupiter Ascending』
監督:ラナ・ウォシャウスキー/アンディ・ウォシャウスキー
脚本:ラナ・ウォシャウスキー/アンディ・ウォシャウスキー
撮影:ジョン・トール
出演:ミラ・クニス/チャニング・テイタム/ショーン・ビーン/エディ・レッドメイン
2015年/アメリカ・オーストラリア
絢爛豪華さが却って災いする現代のSF作品について
結局、本作で描かれている物語は地球上で貧しいながらも普通に暮らしている主人公のジュピターを、世継問題を巡りケインとバレム王の兄弟が奪い合うだけであり、明らかにつまらない部類に入るものであるが、例えば、クライマックスにおいてジュピターを担いでケインが脱出するシーンは、そのチープさが却って過去のモノクロの古典SF作品を想起させたりする。しかしそれは決してウディ・アレン監督が『マジック・イン・ムーンライト』(2014年)で意図して試みたようなレトロ感ではなく、偶然かあるいは才能の欠如によるものであろうが、いずれにしても敢えて白黒にして観るならばストーリーの単純さも相まって意外と味わい深い作品なのかもしれない。やらないけれど。