原題:『のぞきめ』
監督:三木康一郎
脚本:鈴木謙一
撮影:榎本正使
出演:板野友美/白石隼也/入来茉里/東ちづる/玉城裕規/石井正則/吉田鋼太郎
2016年/日本
「ビルドゥングスロマン」になり損ねたホラー作品について
主人公の三嶋彩乃はテレビ局でADとして働いているがうだつが上がらず、上司の竹村篤史に怒られていたが、ある日、誰もいない報道部の電話を取ってとりあえずカメラを持って事件現場に行ったことから自ら現場からレポートすることになり初めて社内で褒められるのであるが、違う部署で手柄をたてたことでまた竹村から叱られる。
その関わった大学生の怪死事件をきっかけに彩乃は恋人の津田信二と共に「六部殺しの伝説」がある村を訪れ、その後、「のぞきめ」を見てしまった津田が精神疾患を患い、彩乃は改めてカメラを片手に村に向かう。この時、彩乃にカメラを持たせることで本作はただのホラー作品から少女が大人になる「成長物語」となる可能性はあった。カメラでスクープをものにした彩乃が再び伝説をカメラに収められたからである。実際に、板野友美の顔をフックに六部の母親と娘の悲劇が展開されるシーンまでは素晴らしい映像処理を見せるのであるが、結局は不条理によってただのホラー作品になってしまった。
フォトジェニックとしての板野友美は悪くはないが演技には問題がある。それはおそらく監督に指示されたことはそれなりにこなすが、メインの演技に必ず伴う前後の何気ない素振りまでには配慮が足りず結果的に不自然に見えてしまっているからである。