原題:『American Made』
監督:ダグ・リーマン
脚本:ゲイリー・スピネッリ
撮影:セザール・シャローン
出演:トム・クルーズ/ドーナル・グリーソン/サラ・ライト/ジェイマ・メイズ
2017年/アメリカ
撮られた証拠の行方について
実在したパイロットのバリー・シールはその天才的な操縦技術を買われてCIAのエージェントからスカウトされて、大金を受け取る代わりに「ヤバい」仕事に携わることになる。
しかしどうも腑に落ちないのは、裁判で1000時間の退役軍人にたいする奉仕活動を命じられた後、パブロ・エスコバルが送り込んだ刺客たちによって義理の弟のJBが乗った車が目の前で爆破されて暗殺されたトラウマを持ったシールがモーテルを転々と変えながら、これまでの自身の行動を独白して証拠の記録として残したヴィデオを何に使うつもりだったのかという点にある。何故かシールは収録したヴィデオを移動に使う車で一緒に運んでいるのだが、車が危ないことは分かっているのだからヴィデオは収録が終わり次第に例えば、妻のルーシーが住む家に送っておくべきなのである。この描写が事実に基づくものなのかあるいはフィクションなのかよく分からない。
シールがCIAと関わるようになった時のアメリカの大統領がジミー・カーターで、シールを保釈した人物が当時のアーカンソー州知事のビル・クリントンで、その「甘い裁定」により事実上アメリカ政府に見捨てられたシールが暗殺された1986年2月19日頃のアメリカ大統領はロナルド・レーガンで、副大統領が後の大統領となるジョージ・H・W・ブッシュで、このように当時の歴代アメリカ大統領が全てシールと関わっていることが本作最大の驚きで、だからシールは原題通りに「特製のアメリカ人」であるのだろう。
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