原題:『四月は君の嘘』
監督:新城毅彦
脚本:龍居由佳里
撮影:小宮山充
出演:広瀬すず/山崎賢人/石井杏奈/中川大志/板谷由夏/檀れい
2016年/日本
エキセントリックな「作風」について
『青空エール』(三木孝浩監督 2016年)のレビューおいて「もはやカップルで自転車に相乗りするということは映画のシーンとしては無くなるのかもしれない。」と書いたばかりなのであるが、本作において主人公の宮園かをりと有馬公正をコンクール会場に送るために友人の澤部椿と渡亮太が自転車に乗ってきて2人を後ろに乗せて海岸沿いを2組のカップルが相乗りするシーンがあったので、あくまでも自転車の相乗りは監督の演出次第だった。
それにしても本作は、例えば、息子の公正がピアノコンクールで優勝しても褒めるどころかわずかなミスタッチに激怒する母親の有馬早希の言動や、「度胸橋」から川にダイブする宮園かをりの言動などずいぶんとエキセントリックで、その点を自転車の相乗りのシーンにおいても勘案しておかなければならないであろう。
宮園かをりが病気で倒れた日は彼女が出演するはずだったガラコンサートが催される2016年7月31日で、彼女が一時退院して再び有馬公正の前に現われた日は10月25日で、いつの間には二ヵ月も経っていたり、とにかくストーリーの流れはなかなか荒く、自分がピアノを弾くことで愛する人を2人も失えば、二度とピアノを弾きたいと思うことはないのではないだろうか。それでもメインとなる演奏シーンは悪くはない。