原題:『While We're Young』
監督:ノア・バームバック
脚本:ノア・バームバック
撮影:サム・レビ
出演:ベン・スティラー/ナオミ・ワッツ/アダム・ドライバー/アマンダ・サイフリッド
2014年/アメリカ
作品の良し悪しを決める「大人」について
ジョシュ・シュレブリックと妻のコーネリアは『ザ・パワー・エリート』というタイトルの軍産複合体に関するドキュメンタリー映画を制作している。2人とも既に40歳代なのであるが、子供がいないためなのか「若手」のような振る舞いである。
なかなか作品を完成させられない中、ある日ジョシュが受け持っていた大学の講座に聴講生として訪れていた20代のジェイミー・マッシ―と妻のダービーと知り合い、その若い夫婦に若かった頃の自分たちを重ねて親交を持つようになる。
ジョシュとジェイミーがアフガニスタンで兵役を務めた後、精神疾患を患ったケント・アーリントンを取材するのであるが、間もなくしてジョシュはジェイミーが「ヤラセ」をしていることに気がつく。ジョシュはケントにカメラの前で真実を述べさせ、義父でドキュメンタリー映画の権威であるレスリー・ブレイトバートの祝福セレモニーが行われているリンカーン・センターへ赴いて、レスリーと一緒にいるジェイミーに問いただすのであるが、意外なことにレスリーはジェイミーのやり方を作品をドラマチックにするための許容範囲として認めるのである。
これにはジョシュはかなり驚いたようで、翌年ジョシュとコーネリアは養子をもらって「大人」になる。結局、作品というものは質そのものではなく、「権威」によって善し悪しが判断されることが分かったからである。