原題:『映画 ギヴン』
監督:山口ひかる
脚本:綾奈ゆにこ
撮影:芹澤直樹
出演:矢野奨吾/内田雄馬/中澤まさとも/江口拓也/浅沼晋太郎
2020年/日本
「贈与」の受け取り方について
ロックバンド「ギヴン」が描かれるかと思いきや、驚くことに本作はドラム担当の大学生の梶秋彦とベース担当の大学院生の中山春樹と、秋彦の同居人の天才ヴァイオリニストの村田雨月の三角関係だけがおよそ1時間で描かれていた。
興味深い点を挙げるならば、かつて雨月と共にヴァイオリンを学んでいた秋彦が雨月に勝てないと悟ったためなのかヴァイオリンを諦めてドラムを始めたのだが、雨月と別れて春樹と付き合うようになると、人生をやり直すという口実でヴァイオリンを学び直しだし、つまり秋彦はやることが交際相手と被ると角が立つと無意識に思っているようで、「ジャンル(genre)」を変えることで「ジェンダー(gender)」の違いを保障しているように見える。