原題:『D.I.D』
演出:岩崎孝次
脚本:岩崎孝次
出演:砂押正輝/岩崎孝次/小山蓮司/中西裕胡/青山由美子/田口真美/松本誠/西川俊
2018年/日本
子供の人格を解離させるほどの親への感謝について
浅草六区ゆめまち劇場で行われた舞台である。タイトルは「解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder)」の略称で、実際に、主人公は父親の事業の失敗で失踪し、シングルマザーの元で育てられたのであるが、自分たちの厳しい生活環境が父親の借金のせいであることを教えてもらわなかったことに対して母親も恨むようになり、そのストレスから女性も含む3人の違う人格が現われるようになる。
母親にネグレクトされているわけではなく解離性同一性障害を発症するにはあまりにも原因が弱いと思うのだが、3人も違う人格が現われるほどの深刻な原因があるとするならば、本作のテーマとなっている「親への感謝」が成立するとは思えず、難しい問題ではある。