原題:『愛がなんだ』
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉/澤井香織
撮影:岩永洋
出演:岸井ゆきの/成田凌/深川麻衣/若葉竜也/中島歩/片岡礼子/筒井真理子/江口のりこ
2019年/日本
「合法的」なストーカーについて
28歳のОLの山田テルコは友人の結婚式の二次会で知り合ったマモルに体調を崩したと電話で呼び出されると家に向かってうどんを作ってあげるのみならず、部屋の掃除までしてあげるのだが、却ってマモルに嫌がられてしまう。何となく一緒に暮らすことになっても、洗濯物の収納の仕方が気にいらないという理由で追い出されてしまうのである。
マモルは年上のすみれのことが好きなのだが、すみれはマモルのことを好きではなく、逆にテルコがすみれに好かれたためにテルコはマモルに逢いたいがためにすみれと一緒にいることを口実にマモルに会うのである。
テルコの友人の葉子はナカハラといつも一緒にいるのだが、恋人ではなくナカハラの片想いなのである。そんな2人の関係は不自然だとテルコは葉子に文句を言うのだが、それはもちろん自分自身の立場がナカハラと同じだったからであろう。葉子は2018年7月に催されたナカハラの写真の作品展のギャラリーに姿を現す。
テルコの方はマモルに別れ話を切り出されても、そんなことはすぐに決めることではないと話をかわし、マモルの友人を介して相変わらずマモルと繋がろうとしている。ラストシーンはテルコが動物園の象の世話をしているのだが、それはマモルが将来象の飼育員をすると言ったことを踏まえて、事前に象の世話をしているのであろう。あくまでも定まらない気持ちが描かれていると思うのだが、合法的なストーカーに見えなくもない。