原題:『愛と誠』
監督:山根成之
脚本:山根成之/石森史郎
撮影:竹村博
出演:西城秀樹/早乙女愛/仲雅美/高岡健二/織田あきら/鈴木瑞穂/有沢正子
1974年/日本
「特撮」ギリギリの青春映画について
想像以上に斬新な演出だった。作品冒頭で幼い頃に早乙女愛を助けた太賀誠が眉間に傷を負って流れる血だけが真っ赤なのであるが、モノクロのシーンに浮かび上がるその特撮の血糊はテレビドラマ「ウルトラマン」シリーズで見るようなもので、その露骨さに違和感が残る。
その後も誠と愛が帰宅途中で会話している同じシーンが何度も繰り返されたり、誠が愛に自分の半生を語るシーンにおいて急に空が赤くなったりと梶原一騎の原作の映画化のために「劇画チック」にしているのでなければ(梶原一騎が演出に口を出したのか?)、これは主演の二人の拙い演技力を誤魔化す奇抜さなのではないだろうか。
その後、『愛と誠』は早乙女愛をメインに続編が製作されることになるのだが、数ある西城秀樹の功績の一つとして早乙女愛、河合奈保子、石川秀美というスターを発掘したことも大きいと思う。