MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『チョコレートドーナツ』

2016-11-11 00:24:56 | goo映画レビュー

原題:『Any Day Now』
監督:トラヴィス・ファイン
脚本:トラヴィス・ファイン/ジョージ・アーサー・ブルーム
撮影:レイチェル・モリソン
出演:アラン・カミング/ギャレット・ディラハント/アイザック・レイヴァ/ドン・フランクリン
2012年/アメリカ

避けられない偏見について

 印象的なシーンについて書いておきたい。母親が薬物で逮捕され施設に収容されているダウン症のマルコ・ディレオンを取り戻そうと主人公のルディ・ドナテロとポール・フラガーが依頼した黒人の弁護士のロニー・ワシントンが、カリフォルニア州では薬物乱用やDV歴があっても養子縁組を認めていることを突き止め、アメリカ合衆国憲法修正第14条「市民の特権を制限してはいけない」「個人に対し法の平等保護を否定してはならない」とされており、ゲイのカップルがマルコを引き取れないという判断は第14条に違反していることを裁判で主張すると提案する。
 ところが訴えは棄却され突然マルコの母親のマリアンナ・ディレオンが現われる。早期仮釈放で出所してきたのである。後に明らかになるようにそれは同性愛に偏見を持つ地方検事局の検察官のウィルソンが絶対に2人にマルコを渡さないように裁判所に監護権回復を要求することを引き換えにマリアンナは減刑され、2人はマルコへの接近禁止命令まで下される。
 その時ルディは、マリアンナは薬物依存者だと抵抗するのであるが、結果はともあれ同性愛者だからという偏見を持たれているルディが薬物依存者に偏見を持ってしまうという皮肉がもの悲しいのである。


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