武士の家計簿
2010年/日本
‘そろばんずく’とはいかない理由
総合 70点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
『武士の家計簿』は決して出来の悪い作品ではないのであるが、森田芳光が監督を務めているとなるとどうしてもレベルの高い演出を求めてしまう。
例えば主人公の猪山直之の息子の直吉がが4歳になり、着袴の儀で嫡男を武士として内外にお披露目する祝いの日の席で祝膳に絵に描いた鯛でもてなすというシーンがある。暫くの間、静まり返った室内を撮した後に突然直吉が嬉々として「鯛じゃ鯛じゃ!」とはしゃぐまでの‘間’が不自然ではないだろうか?
全体的にカット数が少ないことも気になった。例えば猪山家の借金返済のために父親の信之が将軍家より輿入れされた溶姫から賜った茶壷の売値を巡って借金取りと算盤を介する‘格闘’においては、2人の指が一つの算盤の玉を自分の都合の良い方に押し合うアップが挿入されていた方が分かり易かったと思うが、そのような細かいカット割りがあまり無いためにストーリー自体は面白いにも関わらずコメディとしての盛り上がりに欠けてしまっている。
私が気がついた唯一の細かいカット割は、猪山直之が息子の直吉を殴るシーンだけだった。おそらく監督の意図としては、敢えてそこだけ細かいカット割りを仕込むことで親子の絆を観客に印象付けたかったのだと思うが、コメディの要素を犠牲にするほど効果的だったとは思えない。
倹約生活を余儀なくされる武士の時代と物が溢れている現代が‘家財整理’という点でリンクしてしまうという皮肉が効いていて面白いのであるが、直吉が登場するシーンがどれも煮え切らないという印象が残った。
「M―1」今年で終了…笑い飯“有終の美”誓う(スポーツニッポン) - goo ニュース
若手漫才日本一決定戦「M―1グランプリ」が、10回目の今年の大会で終了する
ことになった理由は、漫才のレベルが上がったというよりも、大衆が求める笑いの
最終形態が漫才ではなくなったという要素が大きいと思う。現に近年のMー1の
優勝者であるNON STYLEやパンクブーブーなどのその後の不振振りは深刻な
もので、むしろNON STYLEによって優勝を阻止されたオードリーや去年は9位
だったハリセンボンの方がキャラの際立ちで活躍している。何よりも9年も連続出場
していて、露出度に関していうならばダントツの一位であるはずの笑い飯が全く
パットしないのは漫才というジャンルにとっては深刻な問題だと思うが、本音を言う
ならば島田紳助自身も、もっと稼げるジャンルを見つけてしまったのだからもう漫才
に興味を失ってしまったのだと思う。