MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ペナルティループ』

2024-05-12 00:58:15 | goo映画レビュー

原題:『ペナルティループ』
監督:荒木伸二
脚本:荒木伸二
撮影:渡邉寿岳
出演:若葉竜也/伊勢谷友介/山下リオ/ジン・デヨン/松浦祐也/うらじぬの/澁谷麻美/川村紗也/夙川アトム
2024年/日本

「軸」が定まらないSF作品について

 荒木伸二監督の前作『人数の町』同様に、本作も『マトリックス』(ウォシャウスキー兄弟監督 1999年)ばりの壮大なプロジェクトの割には関わっているスタッフの人数の少なさが気になる。
 主人公の岩森淳が自分の恋人の砂原唯を殺した溝口登の復讐を試みるのだが、岩本が溝口を殺しても何度もループを繰り返すためにループする目的が分からなくなるのだが、岩本が溝口を「赦す」までが目的なのであるならば、ループに意味はあるとは思う。しかし通行人に声をかけられた際のラストの岩森の一言を聞いた時に、本作はシリアスではなくてコメディなのかもしれないと思うものの、それまでの描写がエグイために笑えはしない。
 冒頭で岩森がベッドで眠っているシーンから始まるのだが、カットが変わると岩森の顔の角度が変化している。ラストで岩森が運転する車が停まっているバイクを避けるためにハンドルを左に切るのだが、しばらくして映し出された車は何故か右側の溝に突っ込んでいる。演出に違和感を持った理由である。
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https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1185777


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『親のお金は誰のもの 法定相続人』

2024-05-11 00:59:02 | goo映画レビュー

原題:『親のお金は誰のもの 法定相続人』
監督:田中光敏
脚本:小松江里子
撮影:朝倉義人
出演:比嘉愛未/三浦翔平/浅利陽介/小手伸也/山崎静代/松岡依都美/田中要次/石野真子/三浦友和
2023年/日本

「似せる」と「偽」の違いについて

 妻の満代が亡くなったことから大亀仙太郎は言動がおかしくなってしまい、ついには「成年後見制度」を利用することになり財産管理の弁護士で成年後見人である城島龍之介が担うことになるのだが、この城島が曲者で三重県伊勢志摩で真珠の養殖を営んでいる仙太郎が所有している6憶円の真珠を狙っているのだが、仙太郎が絶えず抱えている金平糖が入っている壺を怪しむものの、そこに入っていた真珠は偽物ばかりだった。
 ここはコメディタッチで描こうとしたのであろうが、金平糖が一般の真珠と類似していることは納得するとしても、6憶円もする真珠の大きさとは合っていないのだから、この設定に無理があると思う。龍之介が認知症を「疑似」していた理由も不明で、結局何を描きたかったのかよく分からない作品になってしまっていると思う。
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https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1149053


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『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

2024-05-10 00:58:59 | goo映画レビュー

原題:『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
監督:渡辺一貴
脚本:小林靖子
撮影:山本周平/田島茂
出演:高橋一生/飯豊まりえ/長尾謙杜/安藤政信/美波/池田良/前原滉/中村まこと/増田朋弥/白石加代子/木村文乃
2023年/日本

実写化によるリアリティのハードルの上昇について

 岸辺露伴がオークションで購入したモリス・ルグランの「黒い絵」を彼の家から盗み出した男が正気を失うシーンがあるのだが、よくよく考えればおかしな話で、山村仁左右衛門の「黒い絵」で正気を失くすのならばともかく「贋作」で正気を失うというシーンは理解できなかった。
 その山村仁左右衛門の「黒い絵」にしてみたところで、その本物の絵を見た岸辺露伴が彼の「後悔」ではない甲冑を着た武士(山村仁左右衛門?)に何故襲われなければならないのか意味不明で、武士を押しとどめた奈々瀬に「何もかも、すべて忘れて」と言われたとて簡単に忘れられるはずもなく、原作は良いのに脚本が上手く行っていないのではないだろうか? どうしても漫画であれば気にならない点でも、実写化するとリアリティのハードルは高くなってしまう。
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『ゴールド・ボーイ』

2024-03-20 00:59:24 | goo映画レビュー

原題:『ゴールド・ボーイ』
監督:金子修介
脚本:港岳彦
撮影:柳島克己
出演:岡田将生/黒木華/星乃あんな/前出燿志/松井玲奈/北村一輝/江口洋介
2023年/日本

どうしても計算できないものについて

 主人公の東昇と14歳になったばかりの中学生の安室朝陽の「頭脳戦」はなかなか見応えがあり、ネタバレになるので上手く紹介できないが、朝陽は学校の成績もトップで優秀なのであるが、それだけ優秀でも計算できないことがあって、それを人は「愛」と呼ぶのである。朝陽は同級生の上間夏月の愛を計算できず、母親の安室香に対して愛情で油断して計算が狂ってしまったのである。
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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

2024-03-19 00:59:42 | goo映画レビュー

原題:『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
監督:成田洋一
脚本:成田洋一/山浦雅大
撮影:小林拓
出演:福原遥/水上恒司/伊藤健太郎/嶋﨑斗亜/上川周作/小野塚勇人/出口夏希/中嶋朋子/松坂慶子
2023年/日本

令和の反戦映画について

 想像以上に良く出来た作品だった。主人公の加納百合は令和5年6月、高校卒業後の進路に悩んでいる。担任の先生には成績が良いのだから大学進学を勧められるものの、百合が幼い頃、父親が溺れている子供を助けるも、自身が溺れてしまい亡くなったことから母親はパートを掛け持ちしており、経済的に余裕はなかったのである。そんな時に百合がタイムスリップした先は、1945年6月14日の日本で、百合を助けてくれた佐久間彰は特攻隊員だったのである。
 印象的なシーンを挙げるならば、百合がお世話になっている大衆食堂「鶴屋」のツルに頼まれてツルの着物と引き換えに野菜をもらってくるように言付かるのだが、途中で空襲に見舞われる。百合はツルのことが心配になって食堂がある炎上している方向に戻っていくのだが、倒れて来た建物の柱に足を挟まれてしまい動けなくなっているところに彰がやって来て百合は助かるのである。この時、百合は知ったのであろう。百合が自分が死ぬことなど考えずにツルを助けに行ったように百合の父親も子供を助けたということを。そして百合の父親は決して無駄死にではなかったが、特攻隊はやはり無駄死にであるということも。
 大規模な空襲後に「鶴屋」がまるで何事もなかったかのようにきれいに残っている部分に疑問を感じないわけではないが、それでも現代の反戦映画として良く出来ていると思う。
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https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_120566


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『映画 マイホームヒーロー』

2024-03-18 00:59:38 | goo映画レビュー

原題:『映画 マイホームヒーロー』
監督:青山貴洋
脚本:船橋勧
撮影:榊原直記
出演:佐々木蔵之介/齋藤飛鳥/木村多江/高橋恭平/津田健次郎/宮世琉弥/板倉俊之/渕上泰史/大東駿介/立川談春/石塚錬
2024年/日本

映画化されるテレビドラマについて

 テレビドラマの流れで期待して観に行ったが、演出が上手く行っていない。例えば、奥多摩町御後山山中に埋められていた麻取義辰の白骨化した遺体が台風の豪雨による土砂崩れにより発見されたことをきっかけに主人公の鳥栖哲雄が十億円を奪ったということで「間野会」という暴力団に狙われ、脅しに家を放火されるのであるが、家の中に十億円が隠されているかもしれないという可能性を考えれば家の放火はあり得ないと思う。
 おそらく時代設定は2024年4月頃だと思うが時間経過が正確ではないような気がする。佐々木蔵之介も齋藤飛鳥も好演していた故に惜しいと思う。


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https://news.goo.ne.jp/article/dailynewsonline/entertainment/dailynewsonline-2928625


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『52ヘルツのクジラたち』

2024-03-17 00:59:55 | goo映画レビュー

原題:『52ヘルツのクジラたち』
監督:成島出
脚本:龍居由佳里
撮影:相馬大輔
出演:杉咲花/志尊淳/宮沢氷魚/小野花梨/桑名桃李/金子大地/西野七瀬/真飛聖/池谷のぶえ/余貴美子/倍賞美津子
2024年/日本

「魂のつがい」について

 主人公の三島貴瑚を演じた杉咲花の熱演は十分に評価に値するし、個人的には西野七瀬の悪役もだいぶ様になってきたように感じるものの、批判しにくいテーマの上に語弊を覚悟して書いておくのだが、事件が次々とあまりにも「きれいな流れ」で起こることに対する違和感を禁じ得ない。
 しかし「魂のつがい」に関して言うならば、「魂のつがい」を感じるような相手に生前出会うことなど奇跡に等しいはずなのだから、もしそのような人に出会ったとするならば、例え結ばれないとしても、そのような人の存在を大切にするために寿命は全うするべきだとは思う。
 映画として観た場合、貴瑚と少年が出会ったのは雨の中で、貴瑚と少年の母親の品城琴美が出会った際には、貴瑚は琴美から飲んでいるビールをかけられたのであるが、ラストシーンにおいて貴瑚と少年はクジラに水をかけられる。この「水」の演出の比喩は弱い気もするが悪くはないと思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1185109


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『アンダーカレント』

2024-03-16 00:58:04 | goo映画レビュー

原題:『アンダーカレント』
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉/澤井香織
撮影:岩永洋
出演:真木よう子/井浦新/リリー・フランキー/永山瑛太/江口のりこ/中村久美/康すおん/内田理央
2023年/日本

自分自身でもおかしくなかった他人について

 主人公の関口かなえは夫の悟と4年交際して結婚して4年になるのだが、令和6年のある日、突然失踪してしまう。かなえは家業の銭湯「月乃湯」を閉めていたのであるが、常連客に促されてとりあえず再開することにした。そこへ住み込みで雇って欲しいとやって来たのが堀隆之なのであるが、ボイラー整備士などの数種の免許を有しており、明らかにかなえの銭湯とは釣り合わない優秀さなのである。
 毎日100人が自殺し、行方不明者は年間8万5千人いる日本において悟はどこへ行ったのか思案しながらかなえは常連のシングルマザーの藤川美奈の娘のみゆが連れ去られた事件をきっかけに、昔のある出来事を思い出す。小学生の頃、かなえにはさなえという親友がいた。さなえは誘拐されて溺死させられたのであるが、そこにかなえもいたのである。かなえは後ろで髪を結ぶとさなえに似ているとさなえに言われていた。つまりさなえの代わりにかなえが殺されていてもおかしくなかったのである。かなえは交通遺児と聞かされていた悟が山形県出身で彼の父親も二年前まで存命だったことに驚くのだが、自分が悟の立場になってもおかしくはなかったと思い直すのである。
 例えば、かなえが初めて探偵の山崎道夫と喫茶店で対面するシーンにおいて、壁を背にしている山崎からかなえを映す際に、改めてセットを作って撮影しているところなどかなり手間をかけており、個々のショットの的確さに一々感心してしまった。
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https://news.goo.ne.jp/article/anannews/trend/anannews-508790


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『十手舞』

2024-03-15 00:59:08 | goo映画レビュー

原題:『十手舞』
監督:五社英雄
脚本:古田求
撮影:森田富士郎
出演:石原真理子/世良公則/夏木マリ/川谷拓三/地井武男/竹中直人/萩原流行/加藤健一/高田純次/渡瀬恒彦
1986年/日本

日本のバブルを象徴する日本映画について

 いくら原作が五社英雄と森幸太郎による劇画とはいえ、これは映画として酷過ぎる。町奉行さえも手を出せない影十手という特命を授かった捕吏たちを主人公にしたストーリーなのであるが、死刑を免れて影十手となった「まむしの弥助」たちが秘密裏に江戸町奉行の内海孫兵衛に首を斬られて声を出せなくさせる意味が分からないし、「まむしの弥助」が久しぶりに遭遇する娘のお蝶と手話で会話ができてしまうことも不自然で、途中で挟まれる石原真理子の新体操のリボンの演技と夏木マリのダンスも時代劇と反りが合わず、柿崎征三郎を演じた竹中直人の芝居がやたらとクドく、映画館で観ていたら途中で席を立っていたかもしれない。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/thetv/entertainment/thetv-1181944


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『DOGMAN ドッグマン』

2024-03-13 00:59:05 | goo映画レビュー

原題:『DOGMAN』
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
撮影:コリン・ワンダースマン
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/ジョージョー・T・ギッブス/クリストファー・デナム/クレーメンス・シック/マリサ・ベレンソン
2023年/フランス

犬の本気度について

 リュック・ベッソンが関わった作品の中では久しぶりの会心作といっても過言ではないと思う。主役のダグラスを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズもいつものように良い味を出しているのだが、何かが物足りないと考えていたら、本作の主役でもある犬に迫力を感じなかった。確かにあれだけの犬を上手くコントロールできていることは采配としては間違いないし、これが『101』(スティーヴン・ヘレク監督 1996年)のようなコメディ作品であるならば問題はなかったと思うのだが、ダグラスの狂気に犬たちが追いついていない印象を持った。
 エンドロールで流れたサテーンの「オータム・スター」を和訳しておきたい。

「Autumn Star」 Sateen 日本語訳

秋の星は独力で
自分の両腕で自分自身を抱きしめたいとますます願っている
私たちをごく自然に夢の中に連れて行って欲しい
私に必要な慰めの人になって欲しいの

私に私に欠けている幻想を与えて欲しい
私を信じさせて欲しいの

秋の星はあらゆるものの中で最も孤独
ヴィーナスは抱きしめてくれる人が必要なのよ
私たちをごく自然に夢の中に連れて行って欲しい
私に必要な慰めの人になって欲しいの

私に私に欠けている幻想を与えて欲しい
私を信じさせて欲しいの
粉々に壊されて残された全てのものに対して
私に代償を払わせない愛が知らないことが
この人生にはもっとある
破滅を終わらせるために
銃弾のように美しい愛を導こう

秋の星は独力で
自分の両腕で自分自身を抱きしめたいとますます願っている
私たちをごく自然に夢の中に連れて行って欲しい
私に必要な慰めの人になって欲しいの

Sateen - Autumn Star (Clip)

101 Dalmatians (1996) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1186003


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