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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『Back to Black エイミーのすべて』

2024-12-04 00:58:08 | goo映画レビュー

原題:『Back to Black』
監督:サム・テイラー=ジョンソン
脚本:マット・グリーンハルシュ
撮影:ポリー・モーガン
出演:マリサ・アベラ/ジャック・オコンネル/エディ・マーサン/ジュリエット・コーワン/サム・ブキャナン/レスリー・マンヴィル
2024年/イギリス・フランス・アメリカ

「天才のパラドックス」

 エイミー・ワインハウスは実体験無しで曲を作ることができなかったのだが、だからこそ説得力を伴って売れたのではあるが、明らかに過度のストレスも伴ったはずで、だからアルコールやマリファナに依存してしまったのだが、たまたまプールバーで知り合ったブレイク・フィールダー・シビルは「コカイン派」で、「ダウナー」と「アッパー」で正反対な効能なのだから使用しているドラッグからして相性が合う訳がないのである。
 しかしよりにもよって悪い男とつき合ってしまい人生が行き詰まるからこそ名曲が書けてしまうというのが「天才のパラドックス」で、27歳の死は避けられなかったのかもしれない。
 ニック・ケイヴが歌う「エイミーに捧げる歌」を和訳しておきたい。

「Song for Amy」 Nick Cave & Warren Ellis 日本語訳

ある日、僕たちのためにそれを招く時が来ると君は言う
いずれにしても僕は君を愛するだろう
誰かが何を言おうと僕が全く気にしないことを君は知っている
とにかく僕はずっと君を愛するだろう

愛はただそれを取り去るための全てを与え
僕は君が留まるためのものを君に与えるつもりだけれど
もしも今君が去るのならば
君の行く手を遮ることはしないけれど
僕は毎日君のことを考える
とにかく僕は君のことを愛しているのだから

Back to Black 2024 Soundtrack | Song for Amy - Nick Cave & Warren Ellis | Original Picture Score |
gooニュース
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『他人は地獄だ』

2024-11-21 00:58:41 | goo映画レビュー

原題:『他人は地獄だ』
監督:児玉和土
脚本:児玉和土
撮影:水本洋平
出演:八村倫太郎/栁俊太郎/岡田結実/三浦健人/青木さやか/大倉空人/鈴木武/松角洋平/星耕介/濱津隆之/萩原聖人
2024年/日本

「幻影」に翻弄される人々について

 閉塞的な舞台設定からしてもタイトルの「他人は地獄だ」はフランスの作家のジャン=ポール・サルトルの戯曲『出口なし(Huis clos)』(1944年)で登場人物の一人であるガルサンが発した「地獄とは他人のことだ(l'enfer, c'est les autres)」を基にしていると思う。地獄において死刑執行人や拷問道具など必要ないという意味である。
 なかなかネタバレ無しで感想を書きにくく、韓国のwebコミックが原作ということもあって「スラッシャー感」が思った以上に頻発し、虫嫌いの人は絶対に無理だろうから敢えて勧めるような作品ではないのだが、多少の演技の拙さを大目に見るならば伏線も上手く回収しており良くできた作品だと思う。


gooニュース
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『呪われた絵画』

2024-11-20 00:59:44 | goo映画レビュー

原題:『The Well』
監督:フェデリコ・ザンパッリォーネ
脚本:フェデリコ・ザンパッリォーネ/ステファノ・マシ
撮影:アンドレア・アルノーネ
出演:ローレン・ラベラ/ロレンツォ・レンツィ/ジョナサン・ディラン・キング/ステファノ・マルティネッリ/クラウディア・ジェリーニ
2023年/イタリア

ヴァンパイアの血液を巡って

 時代は1993年。主人公はアメリカのフィラデルフィア出身で父親の仕事を継いで絵画修復師として働いているリサ・グレイで、イタリアの公爵夫人であるエンマ・マルヴィジの依頼で煤で覆われてしまった絵画の修復のためにイタリアのサンブーチまでやって来る。たまたま同じバスに乗り合わせた二人のアメリカ人とイタリア人ガイドと知り合いになってまた会う約束をしてそれぞれの仕事場に向かう。ストーリーは絵画の修復中に悪夢にうなされるリサのパートと3人が何者かに襲われ監禁されるパートに分けて描かれることになるのだが、二つの物語は繋がることになるのである。
 邦題を信じててっきり絵画にまつわるミステリーなのかと思っていたら、原題は「井戸」なのであるが、だからと言ってその井戸が何か特別なものかといったらそうでもないのである。
 ネタバレしてしまうが、エンマも彼女の娘のジュリアも吸血鬼で絵画は1493年に起こった彼らの出来事が描かれており、修復を依頼された絵画を次の満月に晒すとさらに500年延命できるらしくリサが依頼されたのであるが、ジュリアは自分が子供でいることに不満があったらしく、仲間割れによってリサは命拾いし、さらにそれから30年後にリサはイタリア首相と彼の妻のために注射器で吸い上げた吸血鬼の血液を売買しているシーンで終わる。
 リサは父親と不仲らしいのだが詳細が描かれることはなく、何よりもリサが修復中に左手の人差し指を怪我するのであるが、マーカスが経営するパブでは何もなかったかのように振る舞い、その後、急に人差し指に包帯を巻いていたから驚いた。


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『ネネ エトワールに憧れて』

2024-11-19 00:56:05 | goo映画レビュー

原題:『Neneh Superstar』
監督:ラムジ・ベン・スリマン
脚本:ラムジ・ベン・スリマン
撮影:アントニー・ディアス
出演:オウミ・ブルーニ・ガレル/マイウェン/セドリック・カーン/リシャール・サムエル/ナタリー・リシャール/レオノール・ボラック
2022年/フランス

バレエの見せ場がないバレエ映画について

 パリ郊外の労働者階級出身で黒人の12歳の主人公であるネネはパリのオペラ座で7人しか合格しない入学試験にトップで合格するのだが、そもそもバレエは白人であることを前提に制作されているために、ネネは学校内では生徒だけではなく教師の間においても議論が分かれる存在と化す。
 特に校長のマリアンヌはネネを忌み嫌うのであるが、それはやがて明らかになるようにマリアンヌ自身が北アフリカ出身だったからであり、それは学校の関係者さえ知らない事実だった。皮膚の色が黒くなかったマリアンヌは自身の出自を隠すために、カラーコンタクトで目を青くするほど徹底していたのである。一言で黒人といっても肌の色には様々なグラデーションがあり、それが問題を複雑にしている嫌いはある。
 しかし不思議なのはバレエそのものも見せ場がないところで、だいたいラストは踊るシーンで終わらせるはずなのだが、それは俳優陣に実力がなかったからとしか言いようがないし、ダブルを用意することもなかったようだ。
 どうやらロンドンには黒人ダンサーのための学校「ポワント・ブラック・バレエスクール」が2020年に設立されたばかりで、ようやくバレエの世界にも多様性がもたらされるようになった感じである。本作の主人公であるネネのように誰もがプリマバレリーナを目指している訳ではなく、ただ好きで踊りたい人もたくさんいるのだから、「開放」は極自然の流れのように思う。


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『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』

2024-11-18 00:58:06 | goo映画レビュー

原題:『Gladiator II』
監督:リドリー・スコット
脚本:デビッド・スカルパ
撮影:ジョン・マシソン
出演:ポール・メスカル/ジョセフ・クイン/フレッド・ヘッキンジャー/ペドロ・パスカル/コニー・ニールセン/デンゼル・ワシントン
2024年/アメリカ

「悪役」の扱い方について

 「上映時間約2時間半があっという間に過ぎて行った」と『十一人の賊軍』(白石和彌監督 2024年)のレビューに書いたばかりなのだが、敢えてもう一度書かざるを得ないほど良く出来ていた。さすがにハリウッド映画の制作費の高さによるCGの多用と人海戦術の前に『十一人の賊軍』の画面のスカスカ感は否めない。
 しかしストーリーに関して言うならば、本作のゲタとカラカラの双子の皇帝は頭が悪く、主人公のルシアス・ヴェルスとの対比がはっきりしており、分かりやすいと言えば分かりやすいのだが、『十一人の賊軍』の新発田藩の藩主の溝口直正はまだ子供だから仕方がないものの、悪役であるはずの城代家老の溝口内匠が権謀術数を駆使して領地を守るための葛藤の描写は本作よりも優れているのではないだろうか。
 それよりも気になるのは戸田奈津子による字幕翻訳で、見間違いでなければ「Port of Rome」も「Outskirts of Rome」も「ローマの郊外」と訳されていた。良いのか?


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/crankin/entertainment/crankin-15644510.html?_gl=1*mjvra8*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTczMTgzOTg2NS4yMzIuMS4xNzMxODQwNDY4LjI0LjAuMA..


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『アビゲイル』

2024-11-17 00:57:50 | goo映画レビュー

原題:『Abigail』
監督:マット・ベティネッリ=オルピン/タイラー・ジレット
脚本:スティーヴン・シールズ/ガイ・ビューシック
撮影:アーロン・モートン
出演:メリッサ・バレラ/キャスリン・ニュートン/ダン・スティーブンス/アリーシャ・ウィアー/ジャンカルロ・エスポジート/ケビン・デュランド/アンガス・クラウド
2024年/アメリカ

強すぎる「モンスター」について

 これは驚くべき作品だと思う。お互いの素性を知らない訳アリの者たちが大富豪の娘のアビゲイルの誘拐目的に集まり、5000万ドルの身代金を得たらそのままとんずらするはずが、次々と仲間が殺されていき、実は誘拐したアビゲイルが吸血鬼だったことが分かり、屋敷ごと監禁された中でジョーイとフランクを中心にアビゲイルと対峙することになる。
 ここまでのストーリーの設定と流れは完璧といっても良いと思うのだが、後半になって全くストーリーが跳ねなくなってしまうのである。どうしてこうなってしまったのか勘案するならば、吸血鬼のアビゲイルが強すぎて人間のワルが束になってかかって行っても敵うはずがないからだと思うのである。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1215749.html?_gl=1*q75282*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTczMTY3NTc0OS4yMjYuMS4xNzMxNjc1ODk0LjYwLjAuMA..


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『映画検閲』

2024-11-16 00:58:57 | goo映画レビュー

原題:『Censor』
監督:プラノ・ベイリー=ボンド
脚本:プラノ・ベイリー=ボンド/アンソニー・フレッチャー
撮影:アニカ・サマーソン
出演:ニアフ・アルガー/マイケル・スマイリー/ニコラス・バーンズ/ビンセント・フランクリン/ソフィア・ラ・ポルタ/リチャード・クローバー
2021年/イギリス

壊れた「センサー」について

 時代はマーガレット・サッチャーが首相だった1980年代。主人公は全英映像等級審査機構で審査官として働いているイーニッド・ベインズで同僚たちから厳格な仕事っぷりを論われている。
 一方で、イーニッドの妹のニーナは幼い頃に行方不明になっており、両親は法的に死亡したことにしようという話をしており、仕事面では彼女が担当した映画が実際の殺人事件に影響をもたらしたということで非難されることになる。そんな時にイーニッドはベテランのホラー映画監督のフレデリック・ノースの新作の中にニーナに似た少女を見つけるのである。
 つまり原題の「センサー」である邦題の「検閲」と、同時に精神分析で「無意識の衝動が意識化することを超自我が抑圧してその実現を許さないようにする」という意味も持つ「潜在意識抑圧力」の両方が崩壊してしまうのであり、それが本作の後半で描かれることになる、現実なのか撮影によるフィクションなのか分からなくなるイーニッドの狂気の振る舞いに通じるのであるが、それは審査官が壊れたことで混乱した「酷い」映像を私たち観客が観させられることにもなるのである。
 アイデアは悪くないと思うのだが、90分弱で描くにはストーリーが分かりにくいと個人的には思う。


gooニュース
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『十一人の賊軍』

2024-11-15 00:59:25 | goo映画レビュー

原題:『十一人の賊軍』
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
撮影:池田直矢
出演:山田孝之/仲野太賀/尾上右近/鞘師里保/佐久本宝/千原せいじ/岡山天音/松浦祐也/一ノ瀬颯/小柳亮太/本山力/野村周平/音尾琢真/玉木宏/阿部サダヲ
2024年/日本

藩を守るということ

 上映時間約2時間半があっという間に過ぎて行った。特に後半の怒濤の展開は見応えのあるものだった。ところで砦を死守していた賊軍たちが人質となった新政府軍の水本正虎を解放すれば罰することはないと言われて、最初は全員で降服することにするのだが、あれだけ犠牲者を出しておきながら新政府軍が容赦するとは考えにくく、本当に彼らは赦されると思っていたのか、あるいは当時はそのような暗黙のルールがあったのかはよく分からない。
 しかし同時に思うことは、阿部サダヲが演じた新発田藩の城代家老の溝口内匠の言動で、新発田藩配下の大勢の領民を守るために数人の領民の首は斬るし、家臣の鷲尾兵士郎も裏切り、結果的に娘の溝口加奈の自殺まで招いてしまう冷酷さが際立っていた。溝口家は1600年から明治時代に至るまで12代まで藩主を務めていたのだから、それぐらいの覚悟が必要だったのだろうと察せられる。
 俳優としてナダルを見出したのは卓見ではないだろうか。


gooニュース
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『本心』

2024-11-14 01:59:45 | goo映画レビュー

原題:『本心』
監督:石井裕也
脚本:石井裕也
撮影:浜田毅
出演:池松壮亮/三吉彩花/妻夫木聡/綾野剛/田中泯/水上恒司/仲野太賀/田中裕子
2024年/日本

「本心」は存在するのか?

 主人公で溶接工の石川朔也は工場に勤めており、母親の秋子と暮していたのだが、帰宅途中で豪雨で氾濫する川沿いに立っていた母を助けようとするものの橋から落ちて昏睡状態に陥り、目覚めたのはおそらく1年後の2027年である。
 母親は当然亡くなっていたのであるが、母親が「自由死」という制度を利用した自殺だと聞かされた朔也は母親の本心を確かめるために「VF(バーチャル・フィギュア)」を使って母親を甦らせようと試みる。同じ頃、母親の親友だったという三好彩花という女性が台風の被害に遭って行き場がないことを知った朔也は、自分の知らない母親の情報を得るという目的もあったために母親の部屋に住むことを提案する。三好彩花が高校の時に好きだった同級生の女子高生に似ていたこともあった。朔也はその女子高生が売春をしていたことをからかった教師を殴って暴力事件を起こしたことがあったのだが、三好彩花も娼婦をしていたのである。
 ところが事態は相手に感情移入しやすい「リアルアバター」という仕事を始めた朔也の思う方向には行かない。秋子は実は同性愛者で、朔也が幼少の頃に父親が亡くなったと聞かされていたのは嘘で、朔也は精子の提供で産まれたと聞きたくもない話を知ってしまし、富豪のイフィーにはコインランドリーの事件をきっかけに認められて高額のギャラを手にできるようになるのだが、イフィーが彩花のことを気に入って奪われてしまい、その上、肝心の母親が亡くなった原因は、可愛がっていた黒猫を秋子が探している内に川沿いに来てしまい溺死したことは朔也には分からないのである。
 つまり本作は相手の本心はいつも掴み損ねるのであり、さらに言うならば自分の本心さえよく分からないということが語られるのであるが、それはそうだよねとしか言いようがない話である。しかし「リアルアバター」に関して言うならば2024年時点で既に関東周辺で強盗事件を起こしている。


gooニュース
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『ルート29』

2024-11-13 00:58:32 | goo映画レビュー

原題:『ルート29』
監督:森井勇佑
脚本:森井勇佑
撮影:飯岡幸子
出演:綾瀬はるか/大沢一菜/伊佐山ひろ子/高良健吾/原田琥之祐/松浦伸也/河井青葉/渡辺美佐子/市川実日子
2024年/日本

「美しさ」で探る「敗者たちの可能性」について

 次々と映し出される「画」がどれも美しく「生活音」さえ細かく拾い上げており、それが美し過ぎて多少テンポを犠牲にした感はあるものの、何ならセリフを省いても観ていられるほど美しく、かなり綿密なロケハンをしたと想像する。
 令和5年7月14日を中心とした物語は、フィンランドの映画監督のアキ・カウリスマキのような作風が観客を選んでしまうかもしれないが、本作が修学旅行中にタバコを吸おうとした高校生たちから始まり、俗世を離れて生活している「森」の親子の存在と、主人公で清掃員の中井のり子の姉で教師の亜矢子のモノローグからも教育問題が絡んでいるように思う。つまりのり子と、精神を患って入院中の木村理映子に依頼されてのり子が連れてきた娘の木村ハルは二人とも日本の教育制度からドロップアウトした人たちで、本作は「敗者」たちの生きる可能性をファンタジーと共に探って行く物語であり、それはアキ・カウリスマキ監督の作風でもあるのである。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASSCC52S3SCCPIHB00FM.html?_gl=1*137p4x3*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTczMTQwMDY1Ni4yMTEuMS4xNzMxNDAzNDQ0LjQuMC4w


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