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「バカと無知」橘玲

2023年04月10日 09時06分57秒 | 読書(心理)


「バカと無知」橘玲

皇族の一人が複雑性PTSDと診断されたこと
P98
いちばんの問題は、皇族やその関係者には、直接反論したり、裁判で名誉毀損を訴えることが事実上、封じられていることだ。これは反撃でいない者を徹底的にいたぶるのと同じで、「集団リンチ」以外のなにものでもない。
さらにグロテスクなのは、「あんな男と結婚したら不幸になると、善意のアドバイスをしただけだ」などと述べる者がいることだ。そもそもなぜ、わずかな税金を払っているというだけで、見ず知らずの他人の恋愛や結婚に口出しする権利があるのか。

P101
日本がどんどん「貧乏臭く」なっていく課程と、2000年以降の兼韓・反中の排外主義の急速な広がりは見事に一致している。(中略)日本人の自尊心が揺らいだことでしか説明できない。

P126
50メートル走で最下位だったコドモに1位のトロフィーを渡しても足が速くなるわけではない。「ほめて伸ばす」という教育方針のバカバカしさはこれに似ている

自尊心が高いのは良いことか?
P127
自尊心が高いと浮気や離婚が多い(関係を続けるより別の相手を探す)とか、ジコチューでまわりに気を使わずに嫌われるなど、マイナスの効果も明らかになっている。
以上をまとめると、「自尊心が高くてもなにもかもうまくいくわけではないく、教育や子育てで自尊心を高めようとすると、かえってヒドいことになる」という話になるようだ。

P133
美人は平均より8%収入が多く、不美人は4%少ないという。
一般に思われているように、外見が魅力的だとさまざまな場面で得をする。だが本人たちは、それが日常なので、いちいち自分が幸福だとは思わないらしい。

ボランティア活動の効用
P157
善意の名を借りて無力の人間をサポートする側に回ることは、自尊心の低いひとにとって、それを引き上げるもっとも簡便な方法なのだ。

P257
脳はビデオカメラのように、起きたことを正確に記録し、いつでも再生できるようにしているわけではない。脳にハードディスクが埋め込まれているのではなく、なんらかの刺激を受けたとき、そのつど記憶が新たに想起され、再構成される。
記憶はある種の「流れ」であり、思い出すたびに書き換えられているのだ。

【参考図書】
著者は、このところ評論やコラムが中心だが、以前は、小説を書いていた。
私は、けっこうその小説が好きだった。
また書いてくれないかなぁ。

「マネーロンダリング」橘玲

「タックスヘイヴン」橘玲

「永遠の旅行者」橘玲

「ダブルマリッジ」橘玲 

「言ってはいけない 残酷すぎる真実」橘玲 

「橘玲の中国私論 」

「80’s」橘

「朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論」橘玲 

【ネット上の紹介】
正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶…人間というのは、ものすごくやっかいな存在だが、希望がないわけではない。一人でも多くの人が「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるのではないだろうか。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。
1 正義は最大の娯楽である(なんでみんなこんなに怒っているのか
自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」 ほか)
2 バカと無知(バカは自分がバカであることに気づいていない
「知らないことを知らない」という二重の呪い ほか)
3 やっかいな自尊心(皇族は「上級国民」
「子どもは純真」はほんとうか? ほか)
4 「差別と偏見」の迷宮(無意識の差別を計測する
誰もが偏見をもっている ほか)
5 すべての記憶は「偽物」である(トラウマ治療が生み出した冤罪の山
アメリカが妄想にとりつかれる理由 ほか)

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