「宝づくし」櫻部由美子
シリーズ第四作、最新刊。
第一話「剣術道場の奥方へ」
第二話「斜にかまえた餡屋の男へ」
第三話「ひもくの魚の片割れへ」
P39
同田貫というのは、その昔、肥後国を治めた加藤清正公お抱えの刀鍛冶たちが住んでいた土地の名前であり、タヌキとは何の関係もない。
(中略)
『折れず曲がらず同田貫』のうたい文句にあるとおり、実用を旨とする剛健な刀であるということだ。将軍指南役の柳生家や、お試し斬りで有名な山田浅右衛門なども、同田貫を愛用したと言われている。
P250
比目魚は二匹があわさってようやく一人前に泳ぐことができます。それで仲のよい夫婦のたとえに使われるのだそうです。(本書では伝説上の魚を指しているが、カレイやヒラメのように目が片側にしかない魚のことも意味する)
【ネット上の紹介】
神無月の朝、“出直し神社”の社殿にお蔵茶屋“くら姫”の女主人・お妙が座っていた。たね銭八両の倍返しに訪れたのだ。お妙は神社の守り人・うしろ戸の婆に、江戸中の菓子屋に「宝尽くし」の題に因んだ菓子を競わせる催しを計画中だと話した。神社の手伝いの娘・おけいは、その華やかな計画に胸躍らせる。そんなおけいに今回婆が与えた使命は、同心・丑之助の恩師の未亡人・房江の世話に赴いて「宝さがし」をすること。おけいが探すべき宝とは?そして菓子の競い合いの行方は!?抜群の読み応えで大好評、シリーズ第四作。