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「家族じまい」桜木紫乃

2021年11月05日 08時01分21秒 | 読書(小説/日本)


「家族じまい」桜木紫乃

2020年 第15回 中央公論文芸賞受賞。
老いと家族がテーマ。
レベルが高く、面白かった。
今年のフィクション・ベストの1冊、と思う。

P69
残った行き先はあの世だけという冗談が、大きく外れていない世代だ。

P140
そうそう自分を変えることなど出来ないことは、40も半ばとなった今ならわかる。ただ、考え方の角度を変えることは出来るのだった。

P216
「50を過ぎると、男も女も少し焦るんだ。やり残したことはたくさんあるのに、やり直しのきかないところに来てしまったことに気づく。(後略)」

P223
生きるために働いてきて、結局死ぬ準備にいちばんお金がかかると知ってうんざりした70代も過ぎた。周りを見ればそれすらかなわぬ者がわんさといる。(中略)
80を過ぎれば便りのないのは死んだという知らせだろうか。(中略)
最近は、連絡が来たときに静かに手を合わせに行けば良いと思うようになった。

P229
「(前略)縁なんて、自然に切れるもんなんだよ。切る切る言ってるやつと縁が切れたためしはないんだ。死ぬ死ぬ言ってる人間がなかなか死なないのと一緒だよ」

P231
10歳も年下の男と生き直すには、やはりレースのハンカチみたいなひらひらパンツのひとつも必要なのだろう。薄いパンツ1枚で女が勝負をかけられるのも、考えてみればあと5年、長くて10年だ。70を過ぎれば尿漏れを心配しなけりゃいけない。

【ネット上の紹介】
認知症の母と、齢を重ねても横暴な父。両親の老いに姉妹は戸惑い、それぞれ夫との仲も揺れて…。別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。

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