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「親を送る」井上理津子

2023年01月04日 10時19分39秒 | 読書(介護/終活)


「親を送る」井上理津子

人生最後の通過儀礼、介護と看取り。
両親を相次いで亡くしたノンフィクション作家の体験記。

P114
「末期の水を用意しました。これを口に含ませてあげてください」
看護師さんが、割り箸と綿花、容器に入った水をよこした。
「はい?」
「あの世に旅立たれる間、喉が渇かないようと、昔からの仏教の儀式です」

P129
「戒名と言うのはね・・・・・・」と説明があった。
「亡くなった人は、仏さんの弟子の仏さんになるんですね。戒名は、そのための、徳を表す名前で、成仏のために必ず必要なものなんですね。かよ子さんという俗名は、仏さんの世界で通用しないから・・・・・・。戒名を授けられることによって、初めてご先祖さまの一員となることがでる。うちの過去帳にも、戒名がないと記録できないことになってるんですよ」

P248
「ご承知のとおり、四十九日は満中陰と言います。中陰とは、生と死つまり陰と陽の狭間のことで、その期間が満ちるから、満中陰なんですね。どういうことかというと、仏教では亡くなった人はすぐあの世にいけるのではなく、死後七日ごとに冥土の裁判を受けながら、この世との狭間を歩かれる。そして、四十九日に、一番偉い裁判官、閻魔大王たち十五人から最後の審判を受けることになってるんですね。
生前に良いことをして徳を積んでいると天国へ、悪いことをしていると地獄へ行く、と子どもの頃言われませんでしたか。あれ、ですね。だから四十九日の法要は、亡くなった方が良い裁きを受けられますようにと拝む法要なんですね」(細かいことを言うようだが、お坊さんの言葉だから、「天国」ではなく、「極楽」ではないだろうか?「最後の審判」という言葉も、ユダヤ教やキリスト教の世界観を感じる・・・先日、大塚国際美術館に行った際に見た、ミケランジェロ、システィーナ礼拝堂のフレスコ画を思い出した)


【同著者の作品】・・・とても良かった

「さいごの色街飛田」井上理津子 

【ネット上の紹介】
親との別れは突然やってくる。79歳の母が火傷を負い、病院に運ばれた。数日の入院で済むはずだったが、容態が急変。意識不明に陥り、生命維持装置をいつ外すかの決断を迫られる事態に。さらに追い討ちをかけるように、認知症気味の84歳の父まで…。両親を相次いで亡くしたノンフィクション作家が描く、看取りの苦しさ、悲しみ。親を送った人、これから送る人、皆に届けたい半年間のドキュメント。

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