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「とめられなかった戦争」加藤陽子

2024年08月09日 08時06分01秒 | 読書(昭和史/平成史)
「とめられなかった戦争」加藤陽子

読み返し。
 
P41
太平洋戦争は、機動部隊こそが海上における決定的な戦力であることが明らかになった戦争です。ところが、その決定的な戦力である機動部隊を、日本はマリアナ沖海戦で失ってしまった。
 
P54
「日中戦争・太平洋戦争での戦死者三百十万人の大半は、サイパン以後の1年余りの期間に戦死している」
 
P120-121
日中戦争前の時期、中国では国民政府の指導のもとに日本製品のボイコットがおこなわれました。当時の常識では、ある国が他のある国のものをボイコットするのは国際法違反になるとされていました。(中略)
経済的にこうむった不利益に対して武力で仕返しをするのは穏当ではない、と当然思われるでしょう。でもこれを「相手が悪いことをしたのだから、武力攻撃をしてもいいのだ」と言い換えれば、この発想は現代にもしっかりいきのこっています。9・11の後にアメリカがアフガニスタンやイラクでおこなったことが、まさにこれだといえば、おわかりいただけるでしょう。1938年の日本と2001年のアメリカは、ほぼ同じ感覚で目前の戦争を認識していた。奇妙な、そしてある意味で恐ろしい一致であるというべきでしょう。
 
【ネット上の紹介】
なぜ戦争の拡大をとめることができなかったのか、なぜ敗戦の一年前に戦争をやめることができなかったのか。歴史の流れを決定づけた満州事変、日中戦争、日米開戦、サイパン陥落。この4つのターニングポイントから、歴史をさかのぼり、戦争へと突き進んだ激動の昭和を、人々の思いが今なお染みついた土地と史料から考えていく。
第1章 敗戦への道―1944年(昭和19年)(西太平洋の小さな島々
緒戦の大勝、そして暗転 ほか)
第2章 日米開戦決断と記憶―1941年(昭和16年)(国力と精神力
「泥沼」からの脱出めざして南進へ ほか)
第3章 日中戦争長期化の誤算―1937年(昭和12年)(長江をさかのぼって
自衛と膺懲 ほか)
第4章 満州事変暴走の原点―1933年(昭和8年)(「起こった」と「起こされた」
「満蒙」の誕生 ほか)