「セーラー服の歌人鳥居 拾った新聞で字を覚えたホームレス少女の物語」岩岡千景
歌人・鳥居の半生をたどった作品。
なぜ彼女は、成人してもセーラー服を着ているのか?
義務教育も受けていないのに、どのように学んだのか?
児童養護施設、DVシェルターの実態が語られる。
P17
大人になってもセーラー服を着ているのは、「小学校や中学校の勉強をやり直す場を確保したい」という気持ちを表現するためです。
いじめや貧困などさまざまな理由で、自分と同じように学校に行きたくても行けない子どもたちはほかにもいます。「そうした子たちがいることを知ってほしい」という願いも込めています。
P19
「鳥居」というペンネームを使い、本名も年齢も明かさず活動しているのは、性別や年齢の枠を越え、生と死、現実と異次元などの境界さえも越えて歌を届けたいという思いからです。
自分の目の前で友人が鉄道自殺してしまう
P101
警報の音が鳴り止み遮断機が気づいたように首をもたげる
ご遺族に会わないように大雪を選んで向かう友達の墓
【リンク】
岩岡千景『セーラー服の歌人 鳥居』
【ネット上の紹介】ネット上の紹介】
「義務教育も受けられなかった大人たちがいる」との表現から、成人した今もセーラー服を着ている異色の女性歌人「鳥居」。目の前での母の自殺、児童養護施設での虐待、ホームレス生活―過酷な運命に何度もくじけそうになりながらも短歌の中に「孤独な仲間の姿を見た」という彼女の半生を新聞社の文化部記者が物語るノンフィクション。今も複雑性PTSDの病と共に生きる女性歌人の感動的な半生。