連休の前半は、私だけで山岳部OB会50周年追悼行事に参加のため白馬杓子岳小日向コルに10数年振りに行った。慣れない登山靴を履き、何年もほこりを被っていたピッケルを握っての山歩きはわずかな距離とはいえ新鮮であった。
そして連休後半は長野県川上村にある金峰山荘に宿泊し金峰山に登る計画をたてた。出発前日電話で宿泊の確認した際、金峰山北面の登山道はアイスバーン化しているとの話があった。軽アイゼンを買いに行こうかとも思ったが、takeに慣れない軽アイゼンいきなりつけるのも危ないと思い、とりあえず行って現地で判断しようという事にした。
5月3日、朝7時に家を出て中央線の各駅停車に乗り、小淵沢で小海線に乗り換え信濃川上駅に着いたのは昼過ぎだった。青空の下、バス停でお弁当を食べながら一時間程待って川上村村営バスに乗り川端下に着いたのは14時15分だった。レタス畑の中の道を進むと奥秩父主稜が遠くに見えてきた。中央線側から見るとは大違いで北面の主稜は白く光っていた。カラマツ林の中を進むようになると廻目平はもうすぐだった。駐車場にはたくさんの車か並び、色とりどりのテントが所狭しと並べられていた。20年以上の記憶ではもっと静かな場所だったような気がした。ここに来ている人はおよそ5種類に分別されるようだ。まずは純粋なキャンパー、そしてボルダー、ロッククライマー、釣り師、ハイカーといったところである。takeは写真でインプットしておいた金峰山荘が道端に見えると「お泊りする」と言って建物に向っていった。4時には風呂に入り、6時からの食事の後は部屋でゆっくりと過ごし9時前には就寝した。
5月4日、この日も快晴である。出発の支度をして7時からの朝食を食べ、受付で昼の弁当を受け取るとすぐ出発した。歩き始めてから約一時間で林道の終点に着き、ここから沢沿いの道を進んだ。沢筋から尾根に向けて登るようになると残雪も多くなってきた。最初は途切れがちだったアイスバーンも連続するようになるとさすがに登り辛くなってくる。登るのは何とかなっても下りには相当な時間を要するであろうと考え、標高2,000m付近で引き返しすることにした。takeに「お山はここでおしまい」と伝えたが、思ったよりも簡単に計画の変更を受け入れてくれたようだ。ゆっくりと休みを多く取りながら下山し、11時前に廻目平に戻ってきた。 ベンチでおにぎり弁当を食べたあとは、荷物を宿に預けて周辺の散策路を歩く事にした。takeもお散歩に行くというと機嫌よくついてきた(このまま宿の部屋に入ると言うのではないかと心配したが)パノラマコースという散策路は廻目平の屋根岩と呼ばれる岩峰の基部に設けられており、コースの名前通り展望が良かった。この日は二時半に風呂に入り、ゆっくりと部屋ですごした。
5月5日、今日も快晴だ。ゆっくりと朝食を取り9時前に出発した。廻目平の森を抜け、レタス畑の中を下って行った。今日は祝日だがトラクターが畑を耕している。バスを目指して急いで前を歩くtakeを呼び止め、後を振り向くと、金峰山の頂が白銀に輝いていた。