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「千と千尋の神隠し」

2007年02月04日 | 音楽・映画レビュー
[感想:★★★★-:ぜひ勧めたい!]
 宮崎駿監督の作品の中でもこの映画は特にいい。子供も大人もそれぞれに楽しめる映画だ。
 千尋 は、湯婆婆に名前を盗られてしまうが、その際に「贅沢な名前だ」と言われている。これは、「千尋の実体」が「名前」と釣り合っていないと言っているのだろ う。「名前を持つ」とは「確立した個として存在している」ということだ。だらだらと過ごし挨拶もできないような子供は、世間的には「自立・確立した人間」 ではなくて「あの子」「子供さん」と呼ばれるのである。だから「名前を取り戻す」ことは「自分を見つけること、成長すること」を意味する。
 面白いことに「湯婆婆と銭婆はかつて一体だった」と説明しているシーンがある。湯婆婆と銭婆は、子供から見た母親の二面性を象徴しているようである(蛇足ながら、名前を合体させると「銭湯」になる)。成長には湯婆婆をも受け入れることが必要である。
 ここら辺は、ヘンゼルとグレーテル、白雪姫・・などグリム童話に出てくる魔女の話も連想させる。繰り返してみると、いろいろと再発見がありそうで面白い映画である。

ぽすれん・レビューAmazon・レビュー
監督:宮崎駿
出演者柊瑠美、入野自由、夏木マリ、内藤剛志
Story:
『もののけ姫』から4年の歳月をかけ2001年夏に公開され、大ヒットを記録した宮崎駿監督による冒険ファンタジー。異世界に迷いこんだ10歳の少女・千尋がさまざまな出会いと試練の中で、成長し“生きる力”を取り戻していく姿を描く。(千と千尋の神隠し)