北欧の家具、特にデンマークの椅子が好きです。アルネ・ヤコブセン、フィン・ユール、ハンス・ウェグナーなど、椅子好きの方にはおなじみのこれらデザイナーによる家具は、日本人の感性にも非常に合っていると思います。そして日本の家にとてもよく馴染むと思います。
住宅を設計する時によく眺める本、『Danish Chairs』。デンマークのデザイナーによる椅子が170作品掲載されています。デンマークの椅子は全体的に部材が細く、中でも脚部のデザインは繊細で美しいと感じます。写真右は、ウェグナーの「The Chair」。
住宅のデザインを考える時、まず頭の中で、まだ何もない真っ白な空間に1脚の椅子を置いてみます。そしてそこに腰掛けてみます。
椅子の後ろ側にはどっしりとした壁がほしい。そうだ、そこには絵を飾ろう。椅子に座って外を眺める大きな窓があったらいいな。窓の向こうには庭があって、そこには木を植えよう。子供たちが庭で遊んでいるのを見ながらコーヒーを飲んで本を読むのもいいな。床は椅子に負けないくらい美しい木目の板で、それから・・・と、いろんなイメージが膨らんでいくのです。
紙にまず四角い線を書いて、その中で部屋を割り振っていくのではなく、椅子という一つの点からどんどん広がっていく空間を創造する。その方がきっと豊かで快適な空間ができると思います。