イ・ビョンホンとハセキョーの共演作だと思い込んでいたのですが、
三池崇史、パク・チャヌク、陳果(フルーツ・チャン)監督による
短編オムニバス映画だったのですね~。陳果作品を見たくて借りました。
三作品とも映像は美しかったんですが、
ストーリーは、人間の深い欲望に迫る非日常的で深層心理を突く内容。
芸術グログロ作品なので、見ていて何度か顔が引きつりました・・・。
【CUT~割愛:韓国編】
誰もが羨む成功を手にした映画監督・ジホ(イ・ビョンホン)が帰宅すると、
見知らぬ男(イム・ウォニ)が妻(カン・ヘギョン)を人質にしていた。
男に究極の選択を迫られていく中で、ジホは隠していた素顔をさらけだしていく。
清く正しく見える人でも心の奥底には、憎悪を押し隠していて、
追い詰められると本性がが露出されるということを
改めて思い知らされました。結局、自分が一番大事なのよね・・・。
犯人の復讐劇が理不尽で、展開もハチャメチャ気味でしたが
犯人以外のキャストが皆、縛られて動けないという、
制約のある設定が面白く、意欲的な作品だと思いました。
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【BOX~箱:日本編】
哀しみをたたえた若き女流作家(長谷川京子)の隠された過去。
その謎の鍵を握る男(渡部篤郎)が夢から現われ、
幻と現実が交錯する悲劇に巻き込まれてゆく。
夢か現実かが分からぬまま混沌としたペースで
主人公の過去に秘められた悲劇を紐解いていくのですが
単調で面白みがなく、結末も「?」でした。
色調が青で統一され、静かではりつめるような空気感が演出されていて
視覚的に美しかっただけに、ストーリーの弱さがイタイ・・・。
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【dunplings~餃子:香港編】
夫(梁家輝:レオン・カーフェイ)の愛と衰えた美貌を取り戻すため、
謎の女メイ(白霊:バイ・リン)が作る禁断の餃子を口にした
元女優のリー(楊千[女華]:ミリアム・ヨン)。
恐ろしい中身を知った日から、永遠の悪夢が始まる。
餃子の中身は、香港ホラー映画のお約束のアレ(笑)
察しがつくと思いますが、常規を逸した恐ろしいブツです。
そうと判っていながらも、いつまでも美を保ちたいという欲望から
内面が壊れていく主人公の姿に薄ら寒い想いがしました。
つねに『香港の現在』を撮りつづけてきた陳果だけに
現実にありえそうで、 『八仙飯店之○○饅頭』も実話だったしね~
グロテスクな恐怖感は三作品の中でダントツでした。