映画を観ることを唯一の楽しみに北京で働く青年ダービン(夏雨)は、
ある日、自転車で転んだ拍子に見知らぬ若い女に頭を殴られてしまう。
警察に連行されたその女は、あろうことか金魚の世話をダービンに託し
部屋の鍵を手渡す。やむを得ず向かった部屋で目にしたのは、
壁一面を覆う映画のポスターやスターのピンナップ、そして一冊のノート。
どうやら彼女の日記らしいが、ページを繰るうちにダービンにとって
懐かしい風景が甦るのだった…。
-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----
中国好きの私は、『文革前後の厳しい時代+家族愛』という映画に滅法弱い。
このテーマはいやが上にも人生の厳しさ、やるせなさを連想させるけれど
主人公は貧困や差別に負けることなく、前を向いて生きていく。
その姿に、私の涙腺は8割がたゆるみ、これだけで胸がいっぱい。
なのに、その上、『映画』を軸にした作品なので、
劇中に日本未公開の古い中国映画が散りばめられ
往年の大明星・ 周[王旋](チョウ・シュアン)の天使の歌声と清純な笑顔を
映し出す。これまた映画好きには新鮮で、とことん弱い。
野外映画が唯一にして最大の娯楽だった時代だけに、
登場人物の全てが『映画好き』で
眠らずして『夢の世界』に連れて行ってくれる映画に
目を輝かせ、食い入るようにスクリーンを見つめている姿を見ると
改めて「映画っていいもんだな」と感じさせられました。
ただ、子供時代のエピソードが長いので、主演であるはずの夏雨の
出番が少なかったのが残念・・・でしたが
夏雨の少年時代を演じた子役があまりにも夏雨似だったのはツボ!
人口が多いとはいえ、よく探してくるよな~(感心)