シニアになって、今一度「ムーブメント」を感じる旅に出てみようか
向かったのは
ローカル線の無人駅
人の気配はなく
男の足音も
時おり吹く風が運び
男の存在すら
かき消されてしまう
ホームから
遠くを望む勇気もなく
目の前のレールに
過去を映してじっと眺める
しみじみ、
人生を振り返るように
そして、気が済むと
男は現実の世界に戻った
ラグの詩
駅
人を色メガネで
見ちゃいけないよ
昔から
そう言われてるけど
そうかなぁ?
白以外は黒
モノクロそのもので
人の粗を探してる
色メガネで
よく見てみようや
人とはちょっと違う
その人の色合いにこそ
魅力があったりする
色メガネで
よく見てみようや
ラグの詩
思い出そうとしても
思い出せないもどかしさ
ちょい心が金縛り
そんな時は、
過去っていうプールに
勢いよく飛び込んでみる
ザブーン … プハァ …
ほら、思い出した
ラグの詩
露払いと
太刀持ちを従え
土俵入り
雲龍型か
不知火型か
柏手を打って
四股を踏む
立行司は
木村庄之助と
式守伊之助
はっけよい
のこった
ラグの詩
女の心模様は
七変化する秋の空
そう誰かに言われたこと
ゆるりと回想しつつ
シャッターを押す
女心と秋の空
どこか怖いような
切ないような
ラグの詩
都会に生息すれば
太平洋に浮かぶ無人島や
人里離れた山奥に
ロマン感じるのはナゼ
限界集落の若者
街のナイトネオンに憧れ
満員電車や行列に
興味津々なのはナゼ
ナイモノネダリ。
唯、それだけ
ラグの詩
ノックもせずやってきた
冬支度する間もなく
とりあえず、
作業場の薪ストーブに
火を入れて暖を取る
紅葉狩りもまだなのに ・・・
ラグの詩
料理を作る
調理しだすと
思い出すペイペイの頃
飲んだくれの
オッサンに教えてもらった
単に旨いポテトサラダ
湯掻いたジャガイモ
手早く皮剥かなあかんで
熱いうちに粗めに潰したら
ここですぐ塩を打つ
コレで味は八割方決まる
どや、旨いやろ?
一回きりの伝授
その独り言がレシピの全て
どこにもメモは無し
オッサン
もう、とっくに
あの世に行ってるよな ・・・
ありがとうな
ラグの詩
短い言葉で
思いを伝えるのは難しい
でも、
長々と綴れば綴るほど
たぶん、
薄れて響かないし届かない
だから、
短い言葉でダイレクトに
気持ちを伝えてみる
明日もキミが好きだ
ラグの詩(男と女の話)
一つ 覚えて
一つ 忘れる
毎日、
何かを得て
何かを失っている
日々、
新しい発見をする
そうした努力をしなければ
忘れてしまうことが
発見を上回る
加齢なんだ
仕方ないんだ
そんな言い訳
誰が聞きたいだろうか
今すぐ、
好奇心を呼び起こせ!
ラグの詩
目の当たりにして
今なら素直に表現できる
感動とリスペクト
若かりし頃
親父に教えを乞い
稼業を継いでいたならば
大いに人生は違った
・・・ かもしれない
ラグの詩
きっと会いに来てくれる
今日もその時を待っている
ほら、ドアが開いた
気づかぬフリをしてみる
でも、貴方は何の躊躇いもなく
私に近づき、私を手に取った
ほら ・・・
ラグの詩(男と女の話)
他人に温かさを
求めたくなることがある
せめて、
振り向いてほしいと
思ったりもする
けれど、
さほど他人は
興味を示してはくれない
だから、
ひとり静かに海を眺める
そんな日に限って
海は笑ってる
ラグの詩
手の平を見て
いつもありがとうって
言ってみようや
手の甲を摩って
今日もお疲れさまって
言ってあげようか
支えてくれる
周りの人たちにも
いつも ありがとう
今日も お疲れさま
ラグの詩
虹色に輝きて
美しく映ずるキミ
然れども、
屈折した心
分散した心
崩壊寸前なんだね
そんな
無理しなくていいんだよ
こんな
輝かせなくていいんだよ
心って
伝わる人には伝わるもの
ボクはわかってるよ
ラグの詩(男と女の話)