音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

映画館時代の光と影

2008年10月31日 | インポート

Flashdance 朝晩寒くなったね。秋というより初冬といってもいいくらいの気候が続いてる。ちょうどこの頃かな『フラッシュダンス』を観たのは。当時はまだレンタルビデオがはしりの頃で、この映画も勿論映画館が初見だった。以前、旧豊岡には、洋画、日活映画主体の「豊劇」、松竹映画、新東宝の「有楽館」、東映の「白鳥館」の3つの映画館があったのだが、日本映画自体の衰退で次々と廃業してしまった。なかでもレンタルビデオ店の進出は大きかった。結局、現在何とか営業を続けているのが、「豊劇」のみとなってしまった。「豊劇」が洋画を扱う専門の映画館だった事が生き残りの要因にもなったのだろうか。いずれにしても僕自身も二十代を最後に映画館へは足を運ばなくなった。でも脳みその奥深いところで今も尚燦然と光り輝く映像の大部分は映画館の大スクリーンで観た映画の数々と記憶している。芸術とは皆が感動や悦楽を共有するものだと思っている。映画も例外ではない。そもそも映画とは等身大で観るべきものではない。あの巨大なスクリーンで観るから価値があるのであって、大迫力の映像と音響が渾然一体となってひとつのダイナミックな芸術を産み出す映画館という空間に勝るものはない。そういった意味のおいては、リアルタイムで映画に接する事がいかに大事な事かが判ってくる。

Flashdance: Original Soundtrack From The Motion Picture Flashdance: Original Soundtrack From The Motion Picture
価格:¥ 1,040(税込)
発売日:1998-07-14

 この『フラッシュダンス』が当時、青春映画としては極めて異例のヒットを飛ばした裏には、映画の完成度の高さ以外にも、サウンドトラックとしても秀逸であった事が挙げられるのだと思う。以前弊ブログでも紹介した『フラッシュダンス』のサントラ盤は、当時殆ど無名だったアイリーン・キャラを筆頭に日本では余り馴染みの薄かったマイケル・センベロ等フレッシュな顔触れに混じって当時まさに旬であったドナ・サマーやローラ・ブラニガンを起用し、いずれの楽曲も優れていた。当時やはり新人のジェニファー・ビールスの起用も意表を付き斬新であった。LP盤の中央でダボダボのシャツを着て脚を広げるこのフォトは、映画のワンシーンでも観られる魅惑的なアルバムデザインだ。

 この映画が公開される前はまだブレイクダンスが一般には浸透していなくて、ストリートダンスを多用したこの映画のダンスシーンが先駆けともいわれている。

フラッシュダンス フラッシュダンス
価格:¥ 2,625(税込)
発売日:2008-06-20

 さて今回紹介する映像は本編の中で溶接工として働くアレックス役のジェニファー・ビールスと会社の雇用主ニックとが出会うバーのダンスショー。友人といったバーで偶然、ダンスを踊るアレックスに一目惚れをするニックはこの娘が実は自分の会社で雇っている溶接工だという事を友人に聞かされ唖然とする。カットの終わりに偶然、ハンバーグを焼くシーンが映るので残念だが、ジェニファーのぞくっとするような妖艶な顔のアップが見られるのでこれに免じてよしとするか。

 バックのBG音楽はシャンディの「ヒー・イズ・ア・ドリーム」。このスゥィートなシャンディのヴォイスは僕のお気に入りだ。アップシーンは勿論、ジェニファーなんだが、遠目で見るダンスシーンはマリーン・ジャハンの吹き替えという事らしい。当時は公表されていなくて、聞かされた時は愕然としたのだが、あの有名なオーディションでのダンスシーンも、クレイジー・レッグスという男性ダンサーとシャロン・シャピロの吹き替えなんだよ。それにしても男性ダンサーの吹き替えとは気付かなかったな~。改めて観ても何処のシーンで男性ダンサーが入れ替わっているのか判らないけれど、僕にとってはというより、この映画に思い入れとかいい想い出を持っている人には余計な情報だよな、全く…。

 いずれにしてもこの映画はその後に起こる映画館時代の光と影を象徴するような映画だった事はまず間違いない。皮肉な事に映画音楽を担当したジョルジオ・モロダーも本作と『トップガン』がピークでその後の活躍は聞かない。

 『フラッシュダンス』は80年代を代表する映画であり、永遠に僕の心に残る映画である。5分半のラストシーンにはいつもながら感動させられる。審査に乗り気ではなかった審査員が次第にそのダンスに惹き込まれていく過程はみていて爽快だ。映画の後半でなぜか駆け足でストーリーが進んでいく辺りはすこし不満も残るんだけれど、審査の結果を愛犬と待つニックの元へ駆け出し、恋人の胸に飛び込むシーンはさすがに何度観てもジーンと来る。最後に薔薇の花束を渡すニックにお返しに薔薇一輪を贈るアレックスの心情が読み取れるようだ。

 


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6 コメント

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こんばんは (夢見)
2008-10-31 20:36:51
こんばんは
姫路でも繁華街の真ン中にある映画館が一軒また無くなりました
建物を潰していて・・・え?と思いながら車で通りました
レンタルビデオ店も個人の店は随分減っています

また微妙に新しい時代が来ているのかーと思います

ジェニファー・ビールスさんもそうですが 映画で一時代築いて今度はテレビに活躍の場を映す俳優さんも多いですね

何度でも繰り返し見てしまう映画と 一度みたらもう充分ーて思う映画と
好き嫌いもあるのでしょうけど

B級と言われる映画でも繰り返し見てしまうものあります
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あのジェニファー・ビールスがテレビに活躍の場を... (活字中毒)
2008-10-31 21:21:59
あのジェニファー・ビールスがテレビに活躍の場を移した事は知りませんでした。あの女優さん今頃どうしているんだろう。そんなふうに「あの人は今…」的に思うことは時々あって記事を書くときはそれなりに調べてみるんですが、もうすでに引退しているのだろうと思い込むと調べないんですよね、ぼくは(苦笑)。 これはいい情報ありがとう御座います、夢見さん♪ 今度レンタル屋で調べてみます。
B級映画はあなどれませんね。ぼくはB級ホラー(特にスプラッター・ムービー)が大好きなんですが、あの特撮はちょっとした芸術ですよね。でもこれらの映画も以前のような残酷性が希薄になり、面白味が減りましたね。まともに作ると色んなところから苦情が殺到するんですかねぇ(笑)。
『フラッシュダンス』はぶっちゃけぼくの中ではベスト3に入る傑作です。劇場公開されて25年にもなるのにすこしも色褪せない。それどころか益々光り輝く映画なんてこれからも出会えるかどうか…
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映画は巨大なスクリーンで観るから価値がある。 (カキちゃん♪)
2008-11-01 07:05:15
映画は巨大なスクリーンで観るから価値がある。
アタシもそう思います!
が・・・・・・・とんと映画館に行かなくなった(^^;
理由は、多分レンタルビデオをDVDの普及、便利だものね~。
それと映画館が禁煙になった事…(*o☆)\バキッ…!
もうひとつ大きな理由は・・・・・・・なんか昔ほど感動するストーリー(なんていうか、内面をえぐりだしたような)の映画に出会わなくなった事だお思う。
とはいえ、それは受け手側の心の問題もあるのかもしれなく、私が感動の薄い人間になったのかもしれませんが。
このお正月休みは(って、もうそんな事考えてるのか!カキ!)活字中毒さんオススメの「フラッシュダンス」縁があったら見て見ましょう♪
あとは、「ひまわり」借りて・・・・・って・・・・古っ!…(*o☆)\バキッ…!
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観たい映画はあっても映画館でじっくり腰を据えて... (夢見)
2008-11-01 08:01:20
観たい映画はあっても映画館でじっくり腰を据えて映画を観る余裕がなくなっています

少し待ってレンタルで好きなときに観るわがままー
だけど今はテレビで放映あるまで待とうーなんて横着に変わってしまっています

夏姫様 元気~~~^-^

ではでは ジェニファー・ビールスさんのこと
「Lの世界」ってドラマです
↓にインタビュー記事など
http://cinematoday.jp/page/N0012683
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今晩は、夏姫さん。 (活字中毒)
2008-11-01 20:27:33
今晩は、夏姫さん。
コメントありがとう御座います♪
>私が感動の薄い人間になったのかもしれませんが。
いつもながら鋭い視点で書かれているblogをいつも拝見していますので、これは謙遜と捉えておきます。
『フラッシュダンス』は是非ご覧になってください。ぼくも『ひまわり』は大好きな映画のひとつです。あの頃のものはどれもこれも素敵な映画ばかりでした。そうですね~ぼくもひさしぶりに『駅馬車』や『モダンタイムス』なんか観てみようかな。これも凄く古いですよね(笑)。
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夢見さん、今晩は♪ (活字中毒)
2008-11-01 20:42:53
夢見さん、今晩は♪
観たい映画はレンタルか、テレビ放映まで待つ…。
なるほどこの辺はぼくと似ていますね。
ぼくはレンタルで観た後、ぼくの好みに合う映画だと、DVDを買って何度も観ます。10回くらい観てしまうともう元は取れてしまうので、いつもそうしているんですが、そうして溜まったDVDはいつまでも片付かなくて困りますね。だから最近はなるべく買わないようにしているんです(苦笑)。
『Lの世界』にジェニファー・ビールスが出演しているとは知りませんでした。最近はサスペンスかホラーしか観ないので見過ごしていたんですかねぇ。ぼくの場合、西部劇⇒ミステリー⇒ホラー⇒ラヴストーリーと映画を観るジャンルの周期があるので、もうそろそろこちらにも触手を伸ばす出番ですね(笑)。早速、ジェニファー・ビールスのインタヴィュー記事読んでみますね。情報どうもありがとう御座います★
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