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ぱんくず通読帳

聖書通読メモ

聖霊の働き(詩篇42)

2008-01-30 03:34:47 | 詩篇
なぜうなだれるのか、わたしの魂よ
なぜうなだれるのか。
神を待ち望め。(詩篇42;6)


今、読んでいたある随想の中に
こんな事が書かれていた。


"・・・私たちの内に働いておられる聖霊は
 私たちを動かして、
 一日で最も忙しい時にも
 私たちの心の一部分をイエスのために
 とっておいてくださるのです。"
  (『毎日の黙想』2008年四旬節号 みことばの泉社)


その通りかも知れない。
日常の雑事に埋もれて掃き溜め同然の
自分の心のあり方を考える。
掃き溜めで一杯になった心から
私は時々キリストを締め出している。
その事に気づかされたのは、
先日の夜勤の夜。


日勤者から引継ぎを受けてすぐに
私は寝たきりの50人のうちの32人のベッドを
一人ずつ巡回していた。
残りの16人は遅番がフォローしてくれていた。
穴の開けられた気管から痰を吸引し、
流涎を拭き、
Yガーゼを交換し、
留置カテーテルの中の尿の流れを確認し、
点滴の残量と滴下数を合わせ、
吐き気や体熱感が無いかなどを見て歩いた。
たったそれだけの作業でも
時間はあっという間に過ぎていく。
早く1回目の巡回を済ませてしまわないと
経管栄養の栄養液が来てしまう。
チューブをつなぐ前に
出来るところまで
1回目の巡回の看護記録を書かなければ
もし急変があった時には
業務に時間的な皺寄せが大きく出てしまう。
それで急いでいた。


気管内吸引する最後の一人のベッドサイドから
ラジオの音が聞こえていた。
本人は植物状態で意識は全く無い。
脳血管障害で決定的な所に絶望的なダメージを受けて
意識が回復しないままもう何年経つのだろう。
ラジオは家族がいつも
耳元に置いてFMを聴かせているものだ。
ラジオの刺激でいつか意識が戻らないかと
僅かな望みを託して。


同じ病室のほかの人々も同様に
ラジオを聴いて音楽を楽しんだり気晴らしするなど
叶わない状態の人ばかりだ。
職員は時間に追われてせかせかと
入って来ては出て行く。
鳴り続けるばかりで誰にも聴かれない音楽。


その病室に入って、
一人目の喀痰吸引をしたり話しかけたりしている時、
ラジオの歌が耳に入って
聞き覚えのある歌だな、と思った。
二人目の吸引をしている時、気づいた。
ヘンデルのオラトリオの中の一曲ではないか。


No.38アリア(バス) 
 なぜ国々は騒ぎ立ち、
 国民はむなしくつぶやくか。
 地の王達は立ち構え、
 治める者達はともに集まり、
 主と、主に油を注がれた者とにさからう。
            (詩篇第2篇1~2節 新改訳)


微熱の人が多くて、
気管切開した穴から痰が噴き出す人が多かった。


No.39コーラス
 さあ、
 彼らの枷を打ち砕き、
 彼らの網を解き捨てよう。
             (詩篇題2篇3節 新改訳)


ある人は白色泡沫状、
ある人は黄色粘稠状、
ある人は透明水様状・・・
あの人もこの人もYガーゼが
噴き出した痰でべとべとになっていて交換した。


No.42アリア(テノール)
 あなたは鉄の杖で彼らを打ち砕き、
 焼き物の器のように粉々にする。
             (詩篇第2篇9節 新改訳)


最後の一人であるその人の気管吸引をしている時、
オラトリオは佳境に差し掛かり、
曲はハレルヤコーラスになった。


器械がジュルジュルと濁音を立てて
気管の穴から痰を吸い取る間ずっと、
私の横でラジオからハレルヤが聞こえていた。
こんな時にまで。


王の王、主の主。ハレルヤ。


あの時、
キリストが私の傍に立っていた。
掃き溜めたゴミで一杯の心から締め出されて。
無言で。

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