2月21日(木)マルコ5;1~20
ゲラサの悪霊憑きの箇所。
この箇所を読んで、
じじにちょっと私の仕事話をした。
墓場を住まいとするこの人は、
枷や鎖で縛られていたが
鎖を引きちぎり、
枷を砕くほど暴れていた。
自分も回りもずいぶん傷つけた事だろう。
「この人はさ、
今で言う心の病気の人だね。」
「そうだな。」
「私はこういう興奮状態の人と
仕事で出遭った事が何度もある。
危ないんだよ。
手近な物を何でも、
事務用品でもタオルでも凶器にする。
筆記用具を迂闊に出しといたら奪い取られて
危うく刺されそうになった事も何度かあるし、
一緒に夜勤やってた人は私が別の人と一緒に
他の患者さんを見ている間に押し倒されて
首絞められてた。
危機一髪で引き離したけどね、
朝になったら嘘みたいに正気に戻って
"お早うございます"って挨拶してくるのさ。
精神科の病院でなくてもよくそういう事があったよ。
誰でも極度の不安とか夜間譫妄とか
いろんな原因でこの人みたいになるのさ。
でもそれはその人の本性ではない事を私達は知ってる。
聖書のこの箇所を読むと、
そういう状態だった患者さん達の事を思い出すよ。
凄まじい状態なんだよここの箇所は。」
「ほぉ。」
「イエスが命令すると、
悪霊はこの人から出て豚の群れに入って、
崖から湖に雪崩込んで豚全部溺れ死んでしまった。
後にはこの人が正気に戻って座ってた。」
じじ、
笑って首をかしげている。
「悪霊の名前は"レギオン"と言ってるけど、
レギオンは軍団という意味だよ。
何百何千という連隊が集まって師団になって
それも集まって軍団になるでしょ。
一人の人にそれだけたくさんの悪霊が憑いてた。
家族はとてもじゃないけど一緒になんて暮らせないし
回りにもたくさん迷惑かけて村八分とか爪弾きにされて、
それで墓場にいたんじゃないかな。」
「そうだな。
こんなのが家にいたら大変だ。
皆ケガしてしまう。」
「うん。
家族もバラバラになるだろうし。
苦しむだろうねこの人も家族も。」
「そうだな。」
「お父さん、悪霊というのは、
人を神様から引き離してばらばらにする力だよ。
人が神様を信じられなくなって神様から引き離される、
人が人を信用出来なくなって信頼関係も愛情も無くなる、
信じる心を神様から引き離してバラバラにする力。
私達は常にこれと戦わなければならないんだ。」
「・・・・・」
じじ、
考え込んでるな・・・。
「私達を神様から引き離して
信じられなくしてしまう物事はたくさんあるからね。
いろんな出来事とか心配事とか悩み事とか。」
「そうか。
そうだな。」
「墓場で暴れていた人は
元からそんな人だった訳ではないと私は思うよ。
苦しみに負けて
神様から離れてしまっていたと思うのさ。
いや、負けるさね。
この人一人の力でなんて勝てないよ。
だって大勢の悪霊がこの人一人に憑いていたんだもの。」
「そうだな。
それは大変な事だ。」
「イエス様を遠くから見て、
走り寄って来てひれ伏したのは
助けて貰いたかったんだろうね。
でも助けて貰いたいのに"かまわないでくれ"って
滅茶苦茶に混乱してる。
この人は本当に苦しんでいたと思わない?」
「そうだなぁ。」
「イエス様はその悪霊の軍団をこの人から引き離して
豚の群れに入らせた。
豚というのは、
イスラエル人にとって汚れた動物とされているんだよ。
聖書のこの始めの方にその戒律が書いてあって、
豚を食べてはならない、
食べた者は汚れると書いてあるのさ。
ユダヤ教の人はそれで豚を食べない。
食べると汚れるから。
ここに出て来る豚飼いという仕事は
イスラエルの中では底辺、最下層の、
蔑まれた最低の職業なんだって。」
「へぇー」
「豚飼ってた人達は貧しかったろうね。
イエスが悪霊に憑かれた人から悪霊を追い出して
飼ってた豚に乗り移って
豚2000匹全滅してしまった。」
「そりゃびっくりするだろうなぁ。」
「びっくりしたさぁ。
それで街の人々はイエスに出て行ってくれって。」
「そうだろうな。」
「悪霊に取り憑かれていた人は、
正気に戻って、
イエスと一緒に付いて行きたいと言ったけど
イエスは"家に帰りなさい"と言った。
悪霊に取り憑かれて以来
ずっと家に帰ってなかったんだろうね。
家族とも社会とも切り離されたままだった人を、
イエスは家族の中に帰らせて、
社会復帰して家族や周りの人と一緒に暮らす事を望んだ。」
「うむ。」
「家庭にも社会にもちゃんと復帰して
神様が癒して下さった事を言い広めなさいって事。
悪霊を追い出して貰って正気に戻って
そのままイエスと一緒に行っても
バラバラになった家族は元に戻らないし
悪霊に憑かれて暴れていた人が正気に戻った事に
回りの人が気づかないままになってしまうからね。
救われた人は自分が神様に救われた事実を
周りの人に示して証しなければならないのさ。」
「ふぅん。
そういうものか。」
「そういうものだよ。
教会で"証しする"と言うのは
自分が救われた事を皆の前で言い表す事なのさ。」
じじ、
話の途中しきりにルーペで聖書を見ていた。
ゲラサの悪霊憑きの箇所。
この箇所を読んで、
じじにちょっと私の仕事話をした。
墓場を住まいとするこの人は、
枷や鎖で縛られていたが
鎖を引きちぎり、
枷を砕くほど暴れていた。
自分も回りもずいぶん傷つけた事だろう。
「この人はさ、
今で言う心の病気の人だね。」
「そうだな。」
「私はこういう興奮状態の人と
仕事で出遭った事が何度もある。
危ないんだよ。
手近な物を何でも、
事務用品でもタオルでも凶器にする。
筆記用具を迂闊に出しといたら奪い取られて
危うく刺されそうになった事も何度かあるし、
一緒に夜勤やってた人は私が別の人と一緒に
他の患者さんを見ている間に押し倒されて
首絞められてた。
危機一髪で引き離したけどね、
朝になったら嘘みたいに正気に戻って
"お早うございます"って挨拶してくるのさ。
精神科の病院でなくてもよくそういう事があったよ。
誰でも極度の不安とか夜間譫妄とか
いろんな原因でこの人みたいになるのさ。
でもそれはその人の本性ではない事を私達は知ってる。
聖書のこの箇所を読むと、
そういう状態だった患者さん達の事を思い出すよ。
凄まじい状態なんだよここの箇所は。」
「ほぉ。」
「イエスが命令すると、
悪霊はこの人から出て豚の群れに入って、
崖から湖に雪崩込んで豚全部溺れ死んでしまった。
後にはこの人が正気に戻って座ってた。」
じじ、
笑って首をかしげている。
「悪霊の名前は"レギオン"と言ってるけど、
レギオンは軍団という意味だよ。
何百何千という連隊が集まって師団になって
それも集まって軍団になるでしょ。
一人の人にそれだけたくさんの悪霊が憑いてた。
家族はとてもじゃないけど一緒になんて暮らせないし
回りにもたくさん迷惑かけて村八分とか爪弾きにされて、
それで墓場にいたんじゃないかな。」
「そうだな。
こんなのが家にいたら大変だ。
皆ケガしてしまう。」
「うん。
家族もバラバラになるだろうし。
苦しむだろうねこの人も家族も。」
「そうだな。」
「お父さん、悪霊というのは、
人を神様から引き離してばらばらにする力だよ。
人が神様を信じられなくなって神様から引き離される、
人が人を信用出来なくなって信頼関係も愛情も無くなる、
信じる心を神様から引き離してバラバラにする力。
私達は常にこれと戦わなければならないんだ。」
「・・・・・」
じじ、
考え込んでるな・・・。
「私達を神様から引き離して
信じられなくしてしまう物事はたくさんあるからね。
いろんな出来事とか心配事とか悩み事とか。」
「そうか。
そうだな。」
「墓場で暴れていた人は
元からそんな人だった訳ではないと私は思うよ。
苦しみに負けて
神様から離れてしまっていたと思うのさ。
いや、負けるさね。
この人一人の力でなんて勝てないよ。
だって大勢の悪霊がこの人一人に憑いていたんだもの。」
「そうだな。
それは大変な事だ。」
「イエス様を遠くから見て、
走り寄って来てひれ伏したのは
助けて貰いたかったんだろうね。
でも助けて貰いたいのに"かまわないでくれ"って
滅茶苦茶に混乱してる。
この人は本当に苦しんでいたと思わない?」
「そうだなぁ。」
「イエス様はその悪霊の軍団をこの人から引き離して
豚の群れに入らせた。
豚というのは、
イスラエル人にとって汚れた動物とされているんだよ。
聖書のこの始めの方にその戒律が書いてあって、
豚を食べてはならない、
食べた者は汚れると書いてあるのさ。
ユダヤ教の人はそれで豚を食べない。
食べると汚れるから。
ここに出て来る豚飼いという仕事は
イスラエルの中では底辺、最下層の、
蔑まれた最低の職業なんだって。」
「へぇー」
「豚飼ってた人達は貧しかったろうね。
イエスが悪霊に憑かれた人から悪霊を追い出して
飼ってた豚に乗り移って
豚2000匹全滅してしまった。」
「そりゃびっくりするだろうなぁ。」
「びっくりしたさぁ。
それで街の人々はイエスに出て行ってくれって。」
「そうだろうな。」
「悪霊に取り憑かれていた人は、
正気に戻って、
イエスと一緒に付いて行きたいと言ったけど
イエスは"家に帰りなさい"と言った。
悪霊に取り憑かれて以来
ずっと家に帰ってなかったんだろうね。
家族とも社会とも切り離されたままだった人を、
イエスは家族の中に帰らせて、
社会復帰して家族や周りの人と一緒に暮らす事を望んだ。」
「うむ。」
「家庭にも社会にもちゃんと復帰して
神様が癒して下さった事を言い広めなさいって事。
悪霊を追い出して貰って正気に戻って
そのままイエスと一緒に行っても
バラバラになった家族は元に戻らないし
悪霊に憑かれて暴れていた人が正気に戻った事に
回りの人が気づかないままになってしまうからね。
救われた人は自分が神様に救われた事実を
周りの人に示して証しなければならないのさ。」
「ふぅん。
そういうものか。」
「そういうものだよ。
教会で"証しする"と言うのは
自分が救われた事を皆の前で言い表す事なのさ。」
じじ、
話の途中しきりにルーペで聖書を見ていた。