ロバート・マーシャル著、集英社文庫刊
第2次世界大戦で、多くのユダヤ人が虐殺されましたが、その虐殺を生き抜く為に、地下の下水道という劣悪な環境に一年余りの期間身を潜めていた人々とそれを支援した人達の物語です。
加害者側の虐殺に至る感情は類推できるにしても、それを組織だって大規模に行ったことは信じ難いことです。
その一方で、被害者側の感情や状況は様々であろうと思います。
年齢、性別、身分に関わらず殺されることに対する恐怖は想像以上のものであるでしょうが、冷静に、それを回避しようとした人々が居たこと本書で分かります。
しかし、厳重な監視や制約の中で実行に移す為の意思の力と苦闘、工夫の数々に驚きました。
そして、実際に重大な危機が迫った際に、決めておいたプランが上手く行かない時に取った行動と、その後の想像を絶する環境と僥倖。
本書は絶望的な状況に直面した人々の体験と、それを支援した人達の行動が、生き残った人達の記録と証言、そして子孫の証言によって再構成されています。
特に印象的であったのは、機関銃で殺される為に、衣服を全て脱ぎ捨てるように命令され、淡々と命令に服し並ぶ人々の行動です。
無論個人差はあったでしょうが、絶対的な絶望下で、どう行動するかについて、予期とは全く異なる行動と理由が記されていました。
ドキュメントの精華と思います。
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○ソハの地下水道(映画)
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評価は5です。
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