『あなたはお母さんを癌で亡くされたのね。』
ええ、もう随分前よ、母はまだ63歳だったのに。
『よかったね。』
その言にきりっとした私に構わず友達は続けます。
『うち、交通事故で即死だったから。』
そうか、あなたはお別れも言えなんだ。
私は1年半、母の看病をしながら重ねた親不孝を詫びることが出来ました。
『何を言うの。物凄い親孝行をしたじゃないの。』
別の友達が口を開きます。
『だって親より長生きしてるもの。』
そうだった、あなたはお子さんをとても悲しい形で亡くしたんだった。
そんな友達の言を聞きながら生きてるだけで丸儲け。
不足や不満など言ってはいけない。
世に中に当たり前の事は何一つなく『ありがとう』の気持ちでみるのだと、
誕生日を前に思うのでした。