風 信(かぜのたより)

海風に乗せて

シマジリスミレ ’12春沖縄

2012-04-25 | ’12春沖縄
沖縄本島の限られた地域だけに自生するシマジリスミレ。
昨年は訪れるのが遅く花を見ることができませんでした。
そこで、今年こそはとひと月早く訪ねましたが、
ちょうど良かったみたいです。


シマジリスミレ 12.3.2 沖縄県

オキナワスミレにそっくりな花や葉ですが、
ウラジロスミレ類に属するオキナワスミレと異なり、
タチツボスミレ類に属し、その中でもエゾノタチツボスミレや
アイヌタチツボスミレに近い仲間とされています。

とはいえ、側弁の毛や花柱の突起毛の見られない個体もあるようで、
近くで見ることのできた個体でははっきり確認できませんでした。
距に突起のある個体も比較的見られるようです。

     
     シマジリスミレ 12.3.8 沖縄県

     
     シマジリスミレ 12.3.8 沖縄県

オキナワスミレは明るい海に面した石灰岩の崖に自生していますが、
シマジリスミレは同じ石灰岩の崖でも、
内陸のあまり陽の差さない暗い森の中に自生しています。

とはいえ陽が嫌いなわけでもなさそうで、
比較的陽の当たる崖の上部にも自生していて、
そちらの方が花付きが良いような気がします。


シマジリスミレ 12.3.8 沖縄県


シマジリスミレ 12.3.8 沖縄県

石灰岩の窪みに延びる地下茎(根茎)、
どうやって水分や養分をとっているのでしょう。

地上茎を延ばし始めている株もありましたが、
石灰岩の岩場では根を下ろせそうにもありません。

 
シマジリスミレ(地下茎) 12.3.8 沖縄県    シマジリスミレ(地上茎) 12.3.8 沖縄県

以下の記述は書いていいものか迷ったのですが、
自分自身のメモとして記しておきます。
(不都合があれば削除します。)


シマジリスミレは最も絶滅が心配される種(絶滅危惧ⅠA類)として、
国及び沖縄県のレッドデータブックに記載されているスミレです。

そのシマジリスミレの自生地が何か所あるのか知らないのですが、
唯一私が知っている自生地では工事の計画があるようなのです。

沖縄に着いたその日に自生地を訪ねたのですが、
昨年とは雰囲気が少し違うことに気がつきました。
明瞭な踏み跡がついているのです。

「スミレの見学者?」

ではないようで、
足元に測量用のプラスチック杭が打たれていました。

その日はそのまま帰ったのですが、
写真の写りが芳しくなかったので8日にあらためて訪ねてみると、
自生地の近くで測量機器を据えて測量作業の最中でした。

作業中の方にお尋ねすると、
自衛隊関係からの発注で、
測量と崖の崩落状況の現況調査をしているとのことでした。
(確かに崩れているところはありますが・・・。)

知り得たのはそれだけで、
それ以上のことは分かりませんが、
通常では、現況調査と測量の結果に基づいて、
次年度以降に工事の設計図面の作成、
そして工事施工という段取りになるのではないでしょうか。

地元自治体や県の自然保護部局との調整が行われないまま
工事が行われることはないと思いますが、
心配です。

まさか直接コンクリートで自生地を覆うことはないでしょうが、
工事のために樹木を伐採、枝払いするだけでも
半日陰に生息するシマジリスミレには大きな影響を与えるような気がします。

沖縄には自生地がダムの底に沈んでしまったため、
野生での絶滅が宣言されたオリヅルスミレの経験があります。
シマジリスミレを第2のオリヅルスミレにしたくないのですが・・・。


シマジリスミレ 12.3.2 沖縄県

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