みんな大好き!ベートーヴェンの「エリーゼのために」。
ピアノ教室や学校で誰かが弾き始めると伝染病のようにあっという間に広がります。
誰もが知っていて、ピアノを習っている子どもならみんなが弾きたくなる曲です。
子どもが弾く曲という印象が強いのですが、昔、本当に味わい深い大人の演奏で感動したことを覚えています。
以前お教えしていた趣味の大人の生徒さんがお亡くなりになりました。
ピアノや歌、絵葉書、ガーデニングなど、趣味がたくさんある方でした。
毎年国内外に旅行にも行って、珍しいお土産をたくさんいただきました。
私が飼っていた犬をかわいがってくださって、いつも遊んでもらいました。
東京で私がピアノトリオの演奏会に出た時、わざわざ聴きに来てくださいました。
「60の手習いです」と始められたピアノはどんどん上達して、
ルモアーヌの教本50曲も全て弾きました。
テンポが揺れてしまったり、音を間違ったりすることはありましたが、何を弾いても
音楽が好きで心から楽しんでいらっしゃる様子がそのまま音で伝わってきて
こんなふうにピアノを楽しめるようになりたいなぁと、いつも思っていました。
その方が初めての発表会で演奏したのが「エリーゼのために」でした。
何とも言えない味わい深い演奏で、私はちょっと涙が出ました。
曲の難易度や経験年数などという表に見えるレベルのような物に意味が無いと思いました。
どうしてこんなに人の心を震えさせる演奏が出来るのだろうと思いました。
それからクラシックやポピュラー、ソロに連弾、色々な曲をたくさん弾きました。
最近はお元気でいらっしゃるのかなぁと、よく思い出してはいたのですが
お別れの時が来てしまいました。
とても悲しい気持ちで数日過ごしていますが、私が生きている間は
あの時聴いた「エリーゼのために」の記憶は残ります。
いつか、あんな演奏が出来るようになりたいなぁと思います。
まだまだ頑張らないといけないし、もっと音楽を楽しみたいです。